雇用連運動方針
(2023年11月 ― 2025年10月)
新型コロナウイルス(以下、コロナと略す)の感染拡大に伴う緊急事態宣言(2020年4月)を受けて、行動自粛等もあり、早3年が経過しました。
このコロナ禍における視覚障害者雇用状況の特徴は、あはき従事者の就職件数、就職率等の減少であります。また、
ヘルスキーパー、訪問マッサージ師の自宅待機、開業者の方々の患者さんの激減であります。
職業紹介状況の変化、職業紹介の順位(2022.6.1現在)
を調査しますと
第1位は、専門的・技術的職業、@ あんま・鍼・灸・
マッサージ、27.5(40.5)%。
*2010年は60.6(73.8)%、2013年以降は減少傾向。
第2位は、運搬・清掃・包装等の職業、21.6%(17.4%)。
*2012年は、12.4%(6.3%)、2021年は、21.0%
(16.3%)と増加傾向。
第3位は、事務的職業、18.7(16.1)%。*2010年は
10.1(6.4)%、2013年は13.0(9.2)%、2019年は
16.4(13.9)%、2021年は19.2(16.8)%と増加傾向。
となっています。この職業紹介の変化には、いくつかの
要因が考えられます。
現在、盲学校の幼児児童生徒数の減少に伴い障害種別を超えた統廃合が進んでいます。その背景には、いくつかあります。
一つは、インクルーシブシステム下の中で「障害のある大学生の人数の増加」があります。
・障害学生数は37,647人(全学生数の1.17%)
・障害学生在籍学校数は937校
(全学校数1,174 校の79.8%)
・大学で学んでいる視覚障害のある学生の人数は、887人。
高等部卒業者の状況(2019文科省調査より)において盲学校
以外からの進学者が多いことも事実です。
2019年度に大学に在籍している視覚障害のある学生は、887人です。
2007(H19)年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。
これにに伴いインクルーシブ教育システムの中での視覚障害児童・生徒の一般校への入学、在籍があります。
*インクルーシブ教育改革と特別支援教育改革
○「障害者制度改革の推進のための第二次意見」
(2010(H22)年12月 障がい者制度改革推進会議)
「障害のある子どもは、障害のない子どもと同様に地域の小・中学校に就学し、かつ通常の学級に在籍することを原則とし、……」
一般校においては概して視覚障害教育における専門性、合理的配慮等の欠如から基礎学力の不足、理解力等の低い生徒が生まれていることも否めません。
上記のような背景の中で、先に述べた職業紹介の順位において専門的・技術的職業である、「あんま・鍼・灸・マッサージ」、「事務的職業」は、一定期間の訓練がなければ身につくものではありません。軽作業である「運搬・清掃・包装等の職業」が、増加していることもうなづけるでしょう。
中途視覚障害者の方々の職場復帰も「合理的配慮」が叫ばれる中で、一定の割合で見直されていると思われます。
障害者の法定雇用率、2.7%へ(2026年4月から)
厚生労働省は、障害者雇用促進法に基づき企業に義務付けられている障害者の雇用割合(法定雇用率)を、現在の2・3%から2・7%に引き上げることとなりました。企業側が受け入れ態勢を整えるための期間を考慮して、2段階での引き上げを考えており、来年4月にまず2・5%とし、2026年度中に2・7%にする予定です。また、雇用率が民間より上乗せされている国や地方公共団体などは、
3・0%、都道府県の教育委員会は2・9%に上げられます。
厚生労働省は、障碍者の方々に働きやすい環境整備として、
2024年4月から、「10時間から20時間枠の短時間雇用枠の創設」、
本会が長年要望してきた、「職場介助者制度における事務職と非時無職の差異の解消」等が実現します。
これは長年の運動の大きな成果でしょう。要望し続けることの
大切さを教えてもらいました。
マイナンバー制度実施に伴って情報セキュリティの確保が厳しく求められるなかで、コンピュータへのアクセシビリティが確保されるのかといった課題があります。
中途視覚障害者の継続雇用の問題も多少改善されたとは
いえ、まだまだ厳しい話が寄せられています。
あはき法19条裁判は、一定の方向が示されました。
今後は、視覚障害あはき師の未来について真剣に考えなければならない時期が来ています。
高齢者施設に機能訓練指導員として雇用される例が多くなり雇用率向上に貢献していますが、はり師・きゅう師の参入が認められ、このことが視覚障害者雇用に与える影響についても注視し取り組んでいかなければなりません。
障害者の雇用率は伸びていますが、労働界一般に非正規労働者が増え、長時間残業が減らないという情勢下で、
安心して働き続けることができるかどうかも懸念されます。
上記を踏まえて具体的方針案を提起します。
1.厚生労働省交渉
年1回をめやすに、厚労省交渉を行う。
また、これとは別に、手をつなごう集会に参加し、
厚労省交渉を年1回行なう。
さらに、必要に応じて他の省庁等との交渉も行う。
2.幹事会の開催
オンラインにて幹事会を開催し、具体的な活動について検討する(月に2回程度)。
また会議の中で最近の盲学校の状況について学習する。
3.『雇用連情報』及び会報の発行
年1回活動のPR、情報提供を目的に『雇用連情報』を
発行し、関係機関等に配布する。
また、会員に対して連絡や情報提供を目的に随時会報を
発行する。
4.学習会の開催
2023年と2024年、秋から冬ごろに必要なテーマで
学習会を行う。
5.ホームページとメーリングリストの運営
『雇用連情報』などの資料をホームページに掲載し広く
情報提供する。また、メーリングリストを利用して雇用に
関する情報交換を行う。
6.その他の活動
随時雇用・就労に関する相談を受け付ける。
また、要求に基づいて必要な活動を行う。
7.組織の強化
会員名簿や会費収納状況の記録を整理し、会員の実態を
正確に把握するとともに、会員を増やす活動を行なう。
また、会費の収納率を上げるための活動を行う。
8.関係団体との連携
以上の要求実現のため関係団体と連携する。
以上