雇用連情報第58号

発行 全国視覚障害者雇用促進連絡会
発行責任者 伊藤慶昭
連絡先 田中章治(事務局長)
〒334-0071 埼玉県川口市安行慈林645-4
電話 048-285-9935
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郵便振替 00150-4-67809(加入者名)全国視覚障害者雇用促進連絡会
発行日 2012年9月1日

(この情報誌は活字版(標準サイズ)、点字版、フロッピーディスク版、電子メール版(雇用連メーリングリストで配信)で製作されています。必要な方はご連絡ください。)なお、都合によりテープ版については現在製作を中止しておりますが、必要な場合は検討します。

目次

  1. ごあいさつ 会長 伊藤慶昭 1
  2. 総会報告 2
  3. 全国視覚障害者雇用促進連絡会運動方針 2011年12月-2013年11月 2
  4. 全国視覚障害者雇用促進連絡会決算報告 4
  5. 厚生労働省交渉報告 6
  6. 通所介護(デイサービス)個別機能訓練加算の改定について 16
  7. 採用1年が経ちました -近況報告 吉岡邦廣 19
  8. ヘルスキーパーとしての16年を振り返って 神戸定子 20
  9. 「シンポジウム 重度視覚障害者における事務系職種の雇用を阻むものは何か?
     -あはき業は職業的自立のセーフティーネットになりうるのか?-」開催報告 大橋由昌 21
  10. 「ロービジョンケア」診療報酬化決定について(報告)~「ロービジョンケア判断料」~  25
  11. 国家公務員試験の点字試験時間が1.5倍に延長される 田中章治 31
  12. 〈厚生労働省ホームページ掲載記事から〉平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げられます 32

ごあいさつ 会長 伊藤慶昭

 このたび会長をお引き受けすることになった伊藤慶昭と申します。雇用連にかかわりはじめたのは学生時代からですから、もはや20年以上お世話になったことになります。

 私はある自治体で事務職として働いています。視覚障害者に進路指導をしているわけでも、職業訓練をしているわけでもありません。しかし、日々労働現場で奮闘している一人の視覚障害者として、ふだんの思いを運動に反映していかれればと思っています。

 会長というと、率先して先頭に立ち、相談活動や交渉に取り組まなければならないでしょう。しかし幸か不幸か休暇が取りにくいほど仕事が与えられていて、じゅうぶん活動に参加できないと思います。そのあたりは事務局長をはじめ幹事の方にフォローしていただきながら進めていきたいと思います。

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総会報告

 2011年12月11日11時から12時まで、東京都障害者福祉会館で総会を行いました。

 会計報告及び運動方針が討議されました。運動方針については、意見として「会員の拡大と財源の充実」をするようにとの発言があり、これを含めて採択されました。

 また会計報告については、会費未納の方から請求することが確認され承認されました。

 なお、2011年12月― 2013年11月までの役員について、次のとおり承認されました。

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全国視覚障害者雇用促進連絡会運動方針 2011年12月 ― 2013年11月

 現在、障害者権利条約批准にむけて国内法の整備が着々と進んでいます。2010年には障害者基本法が抜本的に改正されました。これにより障害の概念が拡大され、制度のはざまとなる障害者を極力産まない仕組みがつくられました。さらに、障害を社会との関係でとらえることが強調されるようになったのも注目に値します。今後の予定としては、2012年に障害者総合福祉法(仮称)、2013年に障害者差別禁止法の制定が示されています。

 このような情勢のなか、雇用連は、障害当事者や支援者の声を基本として、真に障害者制度改革が私たちのためになるよう、制度・政策要求を強めなければなりません。特に障害者権利条約にうたわれている合理的配慮については、障害があるゆえの当然の配慮であるととらえます。そして私たちにとってはこれまでずっと求めてきたことであり、それがようやく社会的に認められつつあるという視点に立って、より一層具体的内容について検討していかなければなりません。

 上記をふまえて具体的方針案を提起します。

  1. 厚生労働省交渉
     年1回をめやすに、厚労省交渉を行う。また、必要に応じて他の省庁等との交渉も行う。
  2. 幹事会の開催
     2か月に1回程度幹事会を開催し、具体的な活動について検討する。
  3. 『雇用連情報』および会報の発行
     年に1回活動のPRと情報提供を目的として『雇用連情報』を発行し、関係機関等に配布する。
     また、会員に対して連絡や情報提供をするため随時会報を発行する。
  4. ロービジョン署名の取り組みの継続
     ロービジョンケアの診療報酬化を求める署名や身体障害者手帳の等級改善の陳情については、一定の成果が上がるまで継続的に取り組む。
  5. 「合理的配慮」に関するアンケートと実施
     私たち視覚障害当事者が求めるいわゆる「合理的配慮」について具体的に主張を展開するため、雇用連会員をおもな対象としたアンケートを行う。詳細は幹事会で検討する。
  6. 学習会の開催
     2012年秋に必要なテーマで学習会を行う。
  7. ホームページとメーリングリストの運営
     『雇用連情報』などの資料をホームページに掲載し広く情報提供する。またメーリングリストを利用して雇用に関する情報交換を行う。
  8. その他の活動
     随時雇用・就労に関する相談を受け付ける。また、要求に基づいて必要な活動を行う。
  9. 関係団体との連携
     以上の要求実現のため関係団体と連携する。
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    全国視覚障害者雇用促進連絡会決算報告

    2009年9月1日から2011年11月30日

     総収入 1,365,046

     総支出 1,536,943

    差引残高  -171,897

    収入の部

    前期繰越金392,046 
    会費197,000年1口1,000円×197口
    寄付金401,500コントラクトブリッジ連盟40万円、個人1,500円
    30周年記念レセプション飲食費221,00034人分
    30周年記念講演会参加費17,50035人
    講演会・機器展参加費16,00032人
    機器展出展料20,0005,000円×4団体
    貸付金返済100,000署名推進連絡会から一部返済(貸付残高10万円)

    支出の部

    会報等印刷費587,694雇用連情報2回、会報4回
    30周年記念行事386,300会議室借用料、講師謝礼・交通費、レセプション飲食代、機器使用料
    貸付金200,000署名推進連絡会に貸付
    宣伝費123,440パンフマッサージ師雇用の勧め作成分担金9万円、ホームページ管理委託料3万円等
    講演会・機器展28,500講師謝礼、会場使用料
    ロービジョン講演会10,000講師謝礼
    幹事会等交通費6,350幹事会17回、手をつなごう集会代表者会議、会計会議、30周年実行委員会等
    2011年度事務所使用料40,000視覚障害者サポートゆい内に事務所を設けた
    事務費20,639封筒、印刷費、紙等
    ボランティア交通費40,140日常事務、30周年記念行事、講演会・機器展等
    郵送料31,880雇用連情報・会報発送費等
    会議費2,0002回

    会計監査報告

    1. 領収証の保管、帳簿の記載等、確実に行われている。
    2. いくつか、会計監査の立場から指摘したいことがあり、以下の意見を述べる。
      ○寄付金が収入の大半を占め、本来会費で補うべき体質に弱点があり、これは、数年指摘してきたが克服できていない。会費納入が極端に少ないことで、前期繰越金がマイナスとなったことを深刻に受け止めていただきたい。
      ○雇用連情報および会報の発行が順調に行われ、支出の多くを占めることは、会運営の基本であり評価できる。この期間、30周年記念集会の開催、機器展・講演会の開催、弱視者の身体障害者等級の改善と弱視者ケアの診療報酬化を求める運動に取り組まれたことも、従来にない活動の広がりと評価できるが、貸付金については、本会計の事情を考慮して早期に返済されるよう求めるべきである。
      ○会計事務は、日々視力を要する業務であり、全盲である会計の補佐として晴眼者等の補助者を配置することが望ましい。

    2011年12月4日
    会計監査 高橋秀治

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    厚生労働省交渉報告

     本年2月20日、厚生労働省交渉が中央合同庁舎5号館内の会議室において行われました。当局側の出席者は、職業安定局障害者雇用対策課の内藤係長、小林専門官、能力開発課、労働基準局、老健局、保険局医療課でした。雇用連側の参加者は、9名でした。以下、交渉の概要を簡単に報告します。

    平成24年2月20日

    厚生労働大臣 小宮山洋子 様

    全国視覚障害者雇用促進連絡会会長 伊藤慶昭

    厚生労働省への要求

    〈障害者権利条約関係〉

    要求1 障害者権利条約の批准にむけて、障害者雇用における合理的配慮について検討されているとのことですが、視覚障害者関係について、どのような内容になっているか具体的にお知らせください。検討中でしたら途中経過をお知らせください。

    回答:

     厚労省としては、平成20年より、研究会を立ち上げ、障害者雇用審議会で議論し、2010年4月に中間とりまとめを出した。一方、内閣府の障害者制度改革推進会議ができており、合理的配慮の提供については平成24年度内に、結論を得るという閣議決定が2010年6月になされた。また、2010年11月には、差別禁止部会ができ、議論が開始されているところです。

    雇用連:

     「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて(平成19年1月29日・人事院通知)」のような規程が民間にも欲しい。これも一種の合理的配慮ではないか。

    厚労省:

     そう思う。2010年3月、総務省の「公務部門における障害者雇用マニュアル」に、この人事院通知を加えてもらった。

    〈法改正が及ぼす視覚障害者雇用への影響〉

    要求2 先の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正によって、視覚障害者の雇用が促進されたかどうかお示しください。また、この改正を効果的にするため何らかの施策を実施したかどうか教えてください。

    回答:

     施行は、2010年7月からである。法改正によって、視覚障害者雇用が進んだかどうかは、まだ判断できない。平成22年7月~12月までのハローワークにおける障害者の職業紹介件数は、対前年度比19パーセント伸びている。来年度予算案には、ハローワークの雇用率達成指導、ハローワークを中心とした関係機関との連携強化、障害者就業生活支援センター設置箇所数を増やす等の施策を盛り込んでいる。

    〈雇用情勢と障害者雇用〉

    要求3 雇用情勢は相変わらず厳しいものがありますが、障害者雇用にどのように影響しているか実情を示してください。

    回答:

     昨年6月の調査で障害者雇用率は、1.68パーセントと過去最高、5年連続で率を更新している。ハローワークにおける就職件数も平成22年度は54,689件で平成21年度より増えている。しかし、法定雇用率の未達成企業もまだ過半数あるので課題も多い。

    〈再就職支援〉

    要求4 病院マッサージ師や電話交換手などを解雇された視覚障害者に対する雇用対策を立て、再就職支援の他、ヘルスキーパーや事務的職種など新たな職域を開拓し、再就職のための支援を行ってください。

    回答:

     事業主が障害者を解雇しようとする場合には、ハローワークに届出義務がある。これを受けてハローワークは、求人開拓や職業指導等、早期の再就職支援を行っている。その際、2011年度に改訂した「視覚障害者の職場定着マニュアル」も活用していきたい。

    〈視覚障害専門官の配置〉

    要求5 視覚障害者の職場定着・安定のために、特定の職業安定所に視覚障害者のことをよく理解した専門の担当相談員を配置してください。

    回答:

     ハローワークには、障害者職業相談員、障害者専門支援員を配置し、きめ細かく対応している。本省においては、年2回の研修の中で、視覚障害者に対するパソコン指導の実際や、職業相談の実施方法を研修している。

    〈視覚障害者雇用年次推移〉

    要求6 視覚障害者の雇用について、年次的にその推移をお示しください。

    回答:

     ハローワークにおける視覚障害者の職業紹介件数は、平成21年1,824件、うち重度は1,122件、障害者全体に占める割合は8.2パーセントであった。平成19年度は1,820件7.4パーセントであった。また、平成22年第1四半期(7月から12月まで)ではあるが前年比で増加している。

    雇用連:

     視覚障害者の多くは、あはき業に従事しており、自営を含めた就労支援策が急がれる。全鍼師会に委託している開業を目指す委託訓練も良いが、企業と組んだヘルスキーパーの訓練、特別養護老人ホームの機能訓練指導員のためのジョブコーチの活用をもっと考えてはどうか。

    〈特定身体障害者雇用率制度〉

    要求7 国・地方公共団体は、特定身体障害者(視覚障害3級以下に適用される特定職種)あん摩マッサージ指圧師特定身体障害者雇用率100分の70を達成するため、法に基づく採用計画を作成し、すみやかに達成するようにしてください。また、同雇用率の達成が努力義務となっている民間企業に対しては、達成のための指導を強化し、必要に応じて雇い入れに関する計画の作成を命じてください。

    〈職場介助制度の改善〉

    要求8 医療機関および介護保険施設において、視覚障害者が働きやすいように職場介助者制度(非事務職)について、次の改善をはかってください。

    回答:

     6月1日の状況報告の際、この件もあわせて報告させている。国・地方公共団体および、民間については、要望にある方向で実施していきたい。

     (ア)医療機関および介護保険施設においては、本制度を知らないことが多く、また、視覚障害者が職場介助者の委嘱を希望しても事業主が消極的な事例があるので、周知徹底をはかってください。

    回答:

     障害者雇用納付金制度に基づく助成金制度は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(以下、「機構」と略)が支給事務を行っている。事業主に対する相談、援助とあわせて、周知もしている。ハローワークでも事業主に対し、周知を実施している。

     (イ)職場介助者制度(非事務職)に、配置を加えてください。

     (ウ)職場介助者制度(非事務職)において、同一職場内に介助を受ける視覚障害者が複数いる場合に、一人の職場介助者が介助ができるようにしてください。

     (エ)全雇用期間に対して、職場介助者を適用してください。少なくとも、緊急に現行の適用期間を3~5年延長してください。

    回答:

     事業主が新たに障害者を雇い入れる際、経済的負担を和らげるために本制度ができた。永久に支給することは、効率的効果的制度の執行上、疑問がある。他の助成金との均衡上、困難がある。視覚障害者関係の他の支援制度も活用してほしい。また、推進会議の議論を見ながら、制度のあり方を検討していきたい。

    厚労省:

     今年度で職場介助者の委嘱が終了する事例は10件、来年度は2件ある。全国に指示を出し調査した結果、各事例とも引き続き雇用される見込みがあるようなので良かったと思っている。

    雇用連:

    「情報障害」という視覚障害者の特性をもっと受け止めるべきだ。

     (オ)民間に模範を示す意味からも公務員である視覚障害者への職場介助者制度を創設するよう、人事院に強くはたらきかけてください。

    回答:

     障害者の雇用の促進等に関する法律第7条に基づく、障害者雇用対策基本方針の中で、指針を示している。具体的には、雇用主が行うべき雇用管理に関する基本的留意事項を定めており、視覚障害者については、援助体制の整備が中心となっている。

    〈助成金等申請事務〉

    要求9 障害者雇用納付金制度に基づく助成金および障害者雇用継続助成金に基づく助成金の申請手続を簡素化してください。ならびに、都道府県協会において、申請手続を熟知するよう指導し、申請に係る手続を丁寧に助言するようにしてください。また、申請から給付までの時間を大幅に短縮してください。

    回答:

     不正受給の防止の観点も必要である。来年度から申請手続きは、「機構」の職員が担当することになっている。

    〈ジョブコーチ〉

    要求10 以前から要望している視覚障害者が働く職場に訪問してのパソコン等のIT機器の操作指導について、2006年度の回答の中で、「ジョブコーチが有効」との見解をうかがいました。これを実のあるものにするため、パソコンサポートの技術のある視覚障害者専門のジョブコーチを増やしてください。

    回答:

     養成については、「機構」が実施する研修の他、厚労大臣が定める民間の研修実施機関として4団体がある。今後も増やしていきたい。

    職業能力開発局あて

    〈職業訓練〉

    要求11 視覚障害者が全国どこでも、地元で職業訓練を受けられるよう、指導員を養成してください。

    回答:

     全国19カ所の障害者職業能力開発校が中核である。平成20年から訓練指導員を対象にして、視覚障害者の訓練技法や就労支援の研修をしている。地方から宿泊により、パソコン研修を受ける際の宿泊費の補助制度については、持ち帰って検討したい。

    〈中途視覚障害者のリハビリテーション〉

    要求12 「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて」(平成19年1月29日、人事院通知により、国家公務員である中途障害者が職務を遂行するために必要なリハビリテーションについては、病気休暇や研修制度の中で受けることが可能となりました。障害者権利条約の理念に基づき、民間企業においてもこれに準じた取り扱いがされるよう、労働基準法関係の法令で制度化をしてください。

    回答:

    (労働基準局)法改正はなかなか難しい。労使の協議が前提となる。平成19年度より、「特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度の普及事業」を実施している。

    〈機能訓練指導員〉

    要求13 介護保険下における個別機能訓練加算を増額してください。>

    回答:

     介護報酬単価につきましては、個別機能訓練加算の改定をさせていただいた。

     通所介護費において個別機能訓練加算として当該基準に掲げる区分に従い、1日につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算するといたしました。

     イ 個別機能訓練加算(Ⅰ) 42単位

     ロ 個別機能訓練加算(Ⅱ) 50単位

     別に厚生労働大臣が定める基準の内容は、次のとおりである。

     イ 個別機能訓練加算(Ⅰ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

     (1)指定通所介護(指定居宅サービス等基準第92条に規定する指定通所介護をいう。以下同じ)を行う時間帯を通じて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師(以下この号において「理学療法士等」という)を1名以上配置していること。

     (2)個別機能訓練計画の作成及び実施において利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう複数の種類の機能訓練の項目を準備し、その項目の選択にあたっては、利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助し、心身の状況に応じた機能訓練を適切に行っていること。

     (3)機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者ごとに個別機能訓練計画を作成し、当該計画に基づき、計画的に機能訓練を行っていること。

     ロ 個別機能訓練加算(Ⅱ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

    1. 専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置していること。
    2. 機能訓練指導員、看護職員 介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者の生活機能向上に資するよう利用者ごとの心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していること。
    3. 個別機能訓練計画に基づき、利用者の生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、理学療法士等が、利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること。

    雇用連:

     イの個別機能訓練加算(Ⅰ)と ロの個別機能訓練加算(Ⅱ)の違いがわかりにくい。特養(特別養護老人ホーム)のマッサージは医師の指示が要らないにもかかわらず、医療的リハビリの流れを踏襲しようとしている。特養では、QOLを高めたり、生活支援の場として位置づけ、介護報酬に反映されるべきだ。

    要求14 「福祉施設における視覚障害者の雇用促進のための障害者雇用マニュアル」が改訂されました。その後の介護保険施設における視覚障害者機能訓練指導員に対する雇用促進への厚生労働省と各都道府県の取り組みについてお示しください。

    回答:

     2010年、「視覚障害者の職場定着推進マニュアル」が改訂されたので、あらためて特養等の施設長が集まる会議において、視覚障害者を機能訓練指導員として雇用するよう、労働局、ハローワークを通じて要請した。

    要求15 2007年4月より介護老人福祉施設において個別機能訓練加算となり、個別機能訓練計画書が義務づけられました。現在の各施設の個別機能訓練計画書では視覚障害者が使用できず、働き続けることが困難な状況になっています。個別機能訓練計画書を視覚障害者が使えるような書式や音声対応にしてください。

    回答:

     平成20年8月から事務の簡素化を図り、職種間で連携し、記入していただいてよいこととした。

    雇用連:

     チームワークで処理するといっても、現場ではできていない。

    要求16 柔道整復師が行う個別機能訓練について

     柔道整復師の業務は、骨折、脱臼、打撲および捻挫ならびにこれらの後療法に業務範囲が限られているので、その業務範囲を超えてマッサージ等の行為を行い、個別機能訓練を実施することのないよう関係者に周知してください。

    回答:

     そのようなことが無いように関係機関と連携いたします。

    要求17 はり師きゅう師の機能訓練指導員への新たな参入について

     はり師きゅう師である機能訓練指導員の新たな参入については、個別機能訓練の目的および視覚障害者の雇用の確保という両面から、参入させないでください。また、はり師きゅう師が参入した場合は「前揉捏・後揉捏」と称しマッサージ類似の無資格マッサージ行為が助長される恐れがあります。

    回答:

     はり師きゅう師である機能訓練指導員の新たな参入については、全く検討しておりません。

    〈消炎鎮痛等処置診療報酬の引き上げ〉

    要求18 「消炎鎮痛等処置」〈手技による療法〉の診療報酬を適正に引き上げてください。

    回答:

     医療保険においては、有効性をかんがみ、点数設定を中医協で実施している。

    雇用連:

     マッサージ点数が1983年以来、35点に据え置かれている状況はおかしい。

    〈ロービジョンケアの診療報酬化〉

    要求19 視覚障害者の就労継続のために必要なリハビリテーション(相談・助言・指導等のロービジョンケア)を、診療報酬に算定できるようにしてください。

    回答:

     ロービジョンケアの診療報酬化につきましては、日本眼科学会、眼科医会、日本ロービジョン学会等からも要望もあり、昨年の中医協の医療技術評価分科会で検討され、今回の診療報酬改訂に算定できるようにしたところであります。点数につきましては、いましばらくお待ちください。

    〈資料1〉ハローワークにおける平成22年7月から12月までの就職件数

     障害者全体:25,343(21,307)件

     身体障害者のみ:12,101(11,076)件

    ※( )内は平成21年7月~12月の就職件数

    〈資料2〉視覚障害者の職業紹介状況(平成22年第1四半期(7月から12月まで)累計)

    要求2関係

    ○ハローワークにおける平成22年7月から平成23年6月までの就職件数

     障害者全体:54,689(48,152)件

     視覚障害者のみ:1,975(1,923)件

     ※( )内は21年7月~22年6月までの就職件数

    要求6関係

    ○ハローワークにおける視覚障害者の就職件数

    平成20年度 視覚障害者(件)1,771 身体障害者(件)22,623 視覚障害者の割合(%)7.8

    平成21年度 視覚障害者(件)1,835 身体障害者(件)22,172 視覚障害者の割合(%)8.3

    平成22年度 視覚障害者(件)1,961 身体障害者(件)24,241 視覚障害者の割合(%)8.1

    要求7関係

    ○特定身体障害者の雇用状況(平成23年度)

    国及び地方公共団体 対象数35 特定身体障害者数110 実雇用率(%)65.9 雇用率達成割合(%)74.3

    民間企業 対象数118 特定身体障害者数873 実雇用率(%)56.87 雇用率達成割合(%)72.9

    視覚障害者の職業紹介(平成22年度第1四半期)

    1.概況
    新規求職申込件数計738うち重度 計447
    有効求職者数計6,385うち重度 計3,521
    就職件数計622うち重度 計408
    就職率計84.3うち重度 計 91.3
    2.職業別就職件数
    職業視覚障害者構成比重度構成比
    合計622件100%408件100%
    専門的・技術的職業 視覚障害者433件69.6%341件83.6%
    あんま・鍼・灸・マッサージ377件60.6%301件73.8%
    (うち就職先が医療機関)(66)件(10.6)%(47)件(11.5)%
    (うち就職先が施術院)(274)件(44.1)%(228)件(55.9)%
    ヘルスキーパー21件3.4%19件4.7%
    機能訓練指導員8件1.3%5件1.2%
    理学療法士6件1.0%4件1.0%
    ケアマネージャー3件0.5%1件0.2%
    情報処理技術者3件0.5%0件0.0%
    管理的職業2件0.3%1件0.2%
    事務的職業63件10.1%26件6.4%
    販売の職業10件1.6%2件0.5%
    サービスの職業27件4.3%10件2.5%
    保安の職業3件0.5%2件0.5%
    農林漁業の職業8件1.3%3件0.7%
    運輸・通信の職業1件0.2%1件0.2%
    電話交換手1件0.2%1件0.2%
    生産工程・労務の職業71件11.4%22件5.4%
    分類不能の職業4件0.6%0件0.0%

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    通所介護(デイサービス)個別機能訓練加算の改定について

     全国の通所介護施設には、約1千人のマッサージ師(晴・盲数不明)が機能訓練指導員として働いています。改定された内容によっては、視覚障害者の雇用に大きな影響をおよぼすものです。

     改定された基準の内容は次のとおり。

     イ 個別機能訓練加算(Ⅰ)……42単位

     次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

    (1) 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師(以下この号において「理学療法士等」という。)を一名以上配置していること。

    (2)個別機能訓練計画の作成および実施において利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう複数の種類の機能訓練の項目を準備し、その項目の選択にあたっては、利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助し、心身の状況に応じた機能訓練を適切に行っていること。

    (3)機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者ごとに個別機能訓練計画を作成し、当該計画に基づき、計画的に機能訓練を行っていること。

     ロ 個別機能訓練加算(Ⅱ)……50単位

     次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

    (1)専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を一名以上配置していること。

    (2)機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者の生活機能向上に資するよう利用者ごとの心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していること。

    (3)個別機能訓練計画に基づき、利用者の生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、理学療法士等が、利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に行っていること。

    平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A

    通所介護

    ○個別機能訓練加算

    問66)個別機能訓練加算Ⅱの訓練時間について「訓練を行うための標準的な時間」とされているが、訓練時間の目安はあるのか。

    (答)

     1回あたりの訓練時間は、利用者の心身の状況や残存する生活機能をふまえて設定された個別機能訓練計画の目標等を勘案し、必要な時間数を確保するものである。例えば「自宅でご飯を食べたい」という目標を設定した場合の訓練内容は、配膳等の準備、箸(スプーン、フォーク)使い、下膳等の後始末等の食事に関する一連の行為の全部又は一部を実践的かつ反復的に行う訓練が想定される。これらの訓練内容を踏まえて利用日当日の訓練時間を適正に設定するものであり、訓練の目的・趣旨を損なうような著しく短時間の訓練は好ましくない。なお、訓練時間については、利用者の状態の変化や目標の達成度等を踏まえ、必要に応じて適宜見直し・変更されるべきものである。

    問67)個別機能訓練加算Ⅱに係る機能訓練指導員は「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置すること」とされているが、具体的な配置時間の定めはあるのか。

    (答)

     個別機能訓練加算Ⅱに係る機能訓練指導員は、個別機能訓練計画の策定に主体的に関与するとともに、訓練実施を直接行う必要があることから、計画策定に要する時間や実際の訓練時間をふまえて配置すること。なお、専従配置が必要であるが常勤・非常勤の別は問わない。

    単位① 利用者15人 提供時間9H 確認すべき勤務延時間数9H(9:00~18:00)

    問68)個別機能訓練加算Ⅰの選択的訓練内容の一部と、個別機能訓練加算Ⅱの訓練内容がほぼ同一の内容である場合、1回の訓練で同一の利用者が両方の加算を算定することができるのか。

    (答)

     それぞれの計画に基づき、それぞれの訓練を実施する必要があるものであり、1回の訓練で両加算を算定することはできない。

    問69)介護予防通所介護と一体的に運営される通所介護において、個別機能訓練加算Ⅰを算定するために配置された機能訓練指導員が、介護予防通所介護の運動器機能向上加算を算定するために配置された機能訓練指導員を兼務できるのか。

    (答)

     通所介護の個別機能訓練の提供および介護予防通所介護の運動器機能向上サービスの提供、それぞれに支障のない範囲で可能である。

    問70)個別機能訓練加算Ⅰの要件である複数の種類の機能訓練の項目はどのくらい必要なのか。

    (答)

     複数の種類の機能訓練項目を設けることの目的は、機能訓練指導員その他の職員から助言等を受けながら、利用者が主体的に機能訓練の項目を選択することによって、生活意欲が増進され、機能訓練の効果が増大されることである。よって、仮に、項目の種類が少なくても、目的に沿った効果が期待できるときは、加算の要件を満たすものである。

    問71)個別機能訓練加算Ⅰの要件である複数の種類の機能訓練の項目について、準備された項目が類似している場合、複数の種類の項目と認められるのか。

    (答)

     類似の機能訓練項目であっても、利用者によって、当該項目を実施することで達成すべき目的や位置付けが異なる場合もあり、また、当該事業所における利用者の状態により準備できる項目が一定程度制限されることもあり得る。よって、利用者の主体的選択によって利用者の意欲が増進され、機能訓練の効果を増大させることが見込まれる限り、準備されている機能訓練の項目が類似していることをもって要件を満たさないものとはならない。こうした場合、当該通所介護事業所の機能訓練に対する取組みおよびサービス提供の実態等を総合的に勘案して判断されるものである。

    問72)通所介護の看護職員が機能訓練指導員を兼務した場合であっても個別の機能訓練実施計画を策定すれば個別機能訓練加算は算定可能か。また、当該職員が、介護予防通所介護の選択的サービスに必要な機能訓練指導員を兼務できるか。

    (答)

     個別機能訓練加算Ⅱを算定するには、専従で1名以上の機能訓練指導員の配置が必要となる。通所介護事業所の看護職員については、サービス提供時間帯を通じて専従することまでは求めていないことから、当該看護師が本来業務に支障のない範囲で、看護業務とは別の時間帯に機能訓練指導員に専従し、要件を満たせば、個別機能訓練加算Ⅱを算定することは可能であり、また、当該看護職員が併せて介護予防通所介護の選択的サービスの算定に必要となる機能訓練指導員を兼務することも可能である。ただし、都道府県においては、看護職員を1名で、本来の業務である健康管理や必要に応じて行う利用者の観察、静養といったサービス提供を行いつつ、それぞれの加算の要件を満たすような業務をなし得るのかについて、業務の実態を十分に確認することが必要である。  なお、個別機能訓練加算Ⅰの算定においては、常勤の機能訓練指導員がサービス提供時間帯を通じて専従することが要件であるので、常勤専従の機能訓練指導員である看護職員が看護職員としての業務を行っても、通所介護事業所の看護職員としての人員基準の算定に含めない扱いとなっている。しかし、介護予防通所介護の選択的サービスの算定に必要となる機能訓練指導員を兼務することは、双方のサービス提供に支障のない範囲で可能である。

     以上がおもな通知です。

     厚労省老健局との話では、個別機能訓練加算Ⅱは、機能訓練指導員が実施者となり、目標が生活機能向上でADL訓練がおもな訓練となるようです。

     マッサージが目標達成に必要であれば問題ないとの回答がありました。

     また、記録については、機能訓練指導員が書かなければいけないということはないとのことでした。

     実際の通知の解釈は、実地指導検査を行う都道府県に委ねられるので、疑問点などについては問い合わせしてください。

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    採用1年が経ちました―近況報告 高知県 吉岡邦廣

     点字試験の実施を求める活動の際には、多くのご協力をありがとうございました。おかげさまで、高知県庁職員として採用されて、1年が経過しました。

     しかし、念願が叶った矢先、肝炎治療の一環で行った脾臓手術の術後が悪く、採用早々の4月中旬から6月中旬にかけて入院しなければならなくなってしまいました。健康でなければ、仕事はできないことを痛感した1年間でした。入院中は食事、入浴等も介助してもらわなければいけない寝たきりの状態だったため、退院後体力を戻すのにも時間がかかってしまいました。また、インターフェロンによる治療も行っていますので、仕事上の負担を配慮していただきました。

     庁内全体にテープ起こしの仕事を回して頂けるようにお願いもしていますが、今はおもに私の配置されている文書情報課が開催する審査会の半訳を行っています。1日1時間の文字起こしが1日30分程度の量しか、こなせなかったりと、期待されている通りに仕事ができないことも多々ありますが、極力質だけは落とさないように丁寧さを心がけています。時折出来を褒めてもらえることもあり、励みになっています。

     また、県庁ホームページのアクセシビリティのチェックもさせてもらっています。ホームページの管理の大部分はシステムで自動的に決められてしまうので、大がかりな改善は難しいのですが、実際にスクリーンリーダーで閲覧して、わからない、わかりづらい箇所をチェックしています。

     1年に数度参加しなければならない研修の参加の折には、担当課に事前にワード等の電子データをわたしていただく、研修施設へのガイドをしていただく等のサポートをしてもらっています。

     休暇願の申請等自力で行える操作もありますが、イントラネットや専用システムの操作に関しても、音声化されない情報やマウスでしか行えない操作があるので、研修だけでなく、日常的に誰かにサポートをしてもらわないとならない部分はやはり存在します。そのためにも職場内の人間関係やコミュニケーションの向上を考えていくことはとても有意義なことだと思います。

     今現在コミュニケーションという点に関して改善策がないかなと考えているのが、イヤホンでパソコン操作をしていると周囲の会話が聞こえづらいということです。ある程度は慣れで改善されていくのでしょうが、アイコンタクトが使えないというだけでなく、話しかけられても気づきにくいということは、自分にとっても、周囲にとっても大きな問題ではないかなと思います。また、視覚障害者にとって周囲の会話は貴重な情報源です。その限られた情報源も上手く活かせない事になります。

     私は33才で初めて仕事に就くことになりました。業務上の知識だけでなく、私の年齢で持っていて然るべき社会人としての一般知識の不足を強く感じる毎日です。職場の皆さんには様々な配慮をしてもらっていますが、この1年は恥ずかしい思いや歯がゆいことの連続の毎日だったように思います。

     2年目の今年度はまず、少しずつでも職場、業務に関しての情報、知識を得ていくこと、今やれることをしっかりとやることを心がけていきたいと思います。

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    ヘルスキーパーとしての16年を振り返って 神戸定子

     1991年ごろ点字毎日をなにげなく読んでいたときヘルスキーパーの存在を知り、さっそく地元のハローワークに相談に行きました。

     しかし、ハローワークの対応は冷たいもので、ヘルスキーパーなどという言葉も知らないほどでした。

     そこで、石川視生会(しせいかい)の仲間とともに東京での労働省交渉に参加し、自分の気持ちをぶつけた結果、石川のハローワークも協力を約束してくれました。

     一週間に一度の割合でハローワークに電話して求人は来ていないか確かめたり、東京にもたびたび出かけていろいろな方々からアドバイスや協力をいただきました。

     1995年1月17日、ついに北国銀行に就職することができました。

     身分は嘱託社員でしたが、希望がかなった嬉しさで感激もひとしおだったことを、今もはっきり覚えています。

     就職してからは3か所の施設を回って、多い日は一日10人の社員にかわるがわるマッサージを希望され忙しい思いもしましたが、私にとってはやりがいのある16年でした。

     ただ、正社員ではなかったので退職のとき退職金がなかったことと、一年契約なのでいろいろな面で不安定な立場だったと思います。

     この職業を希望したのに就職するまでに5年もかかったのには、いくつかの理由があったと思います。

     都会と違って地方には求人もなかったし、職安の人たちも関心を示していなかったことが大きかったと思っています。

     ただ言える事は仕事が見つからなくてあきらめようと思ったこともありましたが、自分と仲間を信じて意思を貫いたことが就職につながったと確信しています。

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    「シンポジウム 重度視覚障害者における事務系職種の雇用を阻むものは何か?
    ―あはき業は職業的自立のセーフティーネットになりうるのか?―」

    開催報告 筑波大学附属盲学校同窓会会長 大橋由昌

    1.はじめに

     2011年12月3日(土)に東京都盲人福祉協会の研修室において、筑波大学附属盲学校同窓会(以下同窓会と略)主催による表題のシンポジウムを開催した。参加者は48人だったが、若い人や会員外の人の参加が多く、主催者としてはうれしい誤算であった。

     シンポジウムの内容は、基調講演およびパネルディスカッションの二部構成として、特に後半のディスカッションでは「原点に立ち返り、本音でトーク」をスローガンに企画した。

     提言者には公務員や会社員、あはき業者や教員まで、できるだけ多種多様な職種から代表的なものを選び、それぞれの業種に従事する同窓会員の中から職歴10年以上の人に依頼した。解散後に参加者から、提言者みんなが率直な職場の現状報告をしてくれたので、改めて就労問題の現実を知るよい事例報告だった、とのうれしい感想も寄せられている。少ないスタッフで企画運営した会にしては、かなり鋭く核心に触れた問題提起がなされたと感じた一方、今後どのように運動に結びつけていくのか、我々同窓会も大きな宿題を突きつけられた思いである。本稿では、紙数の関係からパネルディスカッションの一部を報告したい。

    2.パネルディスカッション「業務における文字処理のバリア」

     第二部として、静岡県視覚障害支援センター職員の土居由知さんの司会により、「業務における文字処理のバリア」と題するパネルディスカッションを行った。

    1. 提言Ⅰ Eさん

     “私は株式会社Bに10年ほど勤務しています。業務内容は、パソコンやデイジーなどの電子機器のサポート・指導や電話や来客の対応などが中心です。その前の10年間は、一般の株式会社Aというソフトウェアハウスに勤めていました。おもな仕事は、顧客の大手企業に出向き、コンピューターのソフトを組むことでした。

     附属盲出身で、卒業までは進路選択に迷いましたが、大学へ進学しました。就活のあてもないので、就職相談に日本ライトハウスを訪ねたところ、コンピュータと出会いそのまま訓練生として入所しました。Aは、私ともうひとりの視覚障害者とその介助者ひとりを、一度に採用しましたので、職場内での不自由さはあまりありませんでした。ただ、チームで顧客の会社へ出向くとき、見えない者がいますが、と受け入れの打診からはじめなければなりませんでした。ソフトを組む作業は、オプタコンを使って単独でできるところはやりましたし、読み取れないものについてはチームスタッフにひとこと指示してもらえば問題なくできましたが、コンピュータからパソコンに変わる時期があって、特にウィンドウズへの乗り換えに私は失敗しました。その原因は、そうした動きの情報をつかめなかったこと、そして初期段階で敏感に対応できなかったことだと思います。

     では次にどんな仕事をするかという話になり、新入社員の教育を担当することになりました。けれども、通年忙しいわけでもありませんので、仕事のない時間が増えて退社する前の2年ほどは悩みました。そんな折、Bの話を聞いて、最終的には入社することになったわけです。”

     と、穏やかな口調で話され、誠実な人柄がうかがわれた。現在のBでの仕事内容にも触れられ、恵まれた職場環境と充実した仕事振りをうかがい知ることができた。とりわけ印象に残ったのは、「ウィンドウズへの乗り換えに失敗しました」の発言だった。そのウィンドウズを扱う仕事だけに、いささか驚きもしたし、素直な姿勢に好感を持った。そういう苦い体験を持つがゆえに、パソコンの苦手なエンドユーザーの気持ちを汲むことができるのだろうと納得した。

    2. 提言Ⅱ Tさん

     続いてマイクを握られたTさんは、最初に話の流れを示され、①自己紹介を兼ねて業務内容、②職場内のサポートについて、③仕事のやりがい・生きがいについての順、とのことなので、一部を紹介する。

     “私は大卒後、豊島区立のひかり文庫という点字図書館で非常勤の点字指導員をしていました。やりがいも感じて常勤を目指しましたがかなわず、年齢制限最後の年に都の採用試験を受けて合格し、2000年から療育センターでワーカーとして働いています。この施設は重症心身障害者向けで、具体的には知的と肢体不自由の障害を併せ持つ方々が対象です。病院と介護施設の機能を併せ持つ施設としてベッド数250床で、ショートステイ・入所・通所の大きく3部門に分かれています。

     業務内容は多岐にわたりますが、ショートステイの受け入れの諸手続きを中心に、各種助成制度の申請手続きやケース会議の資料作成、ご家族とスタッフとの連絡調整から見学者の案内まで日々多忙です。パソコンは2台、都庁内LANと院内LAN用に分けて使い、電話相談記録などはワードでそのままどんどん書き込んでいます。

     仕事の性質上文字処理が多く、特にケース記録や相談記録など、書式の決まっている手書きのファイルへの対応には、本当に困っています。ショートステイの受け入れの際など、空きベッドを探すのに、エクセルで表になってはいますが即応できませんから、同僚に見てもらうか、その仕事を任せるかするしかありません。事務補助に関しては、週1回4時間の臨時職員がついていますので、できるだけ手書き処理や都からの回覧物などの拾い読みをしてもらったりしています。

     最後に仕事のやりがいですが、この4月に育休から復帰したとき、利用者のご家族から「もどってきてくれてよかった」などといわれ、利用者との信頼関係を生きがいにしています。職場内のコミュニケーションなどについて話すと独演会になるので今日はこれでやめておきます。”

     Tさんの何事にも全力で立ち向かう、まじめで几帳面な性格が随所ににじみ出てくるお話だった。どんな職場においても、人間関係の多少の波風はやむをえないと思うが、私たち見えないものにとって、見えないがゆえの物理的なハンディを理解してもらえないほど辛いものはない。職場で「しょぼんっ」とすることがある、との一言は、身につまされて思わずうなづいてしまった。

    3. 提言Ⅲ Nさん

     “私は埼玉県で夫と二人、鍼灸マッサージの治療院を1984年から開業しております。鍼が6割、マッサージが4割の比率で、患者さんの年齢層が幅広く、30~40代の働き盛りの人が多い状況です。免許取得後、サウナや病院に勤めたり、治療院に住み込みで働いたりしました。特に1979年から3年間住み込んだ治療院では、前近代的な経営形態に衝撃を受けましたが、社会の厳しさを勉強する機会にもなりました。

     治療院における文字処理の代表的なものは、患者さんに渡す領収書の書き込みがあります。営業活動に関わる文字処理をホームヘルパーさんなどにお願いするのは制度上禁止されてますので近隣の人の協力を仰いでいます。人名の漢字にはいろいろありますから、患者さんにメモ用紙へ書いてもらって、近隣の人のところへ持っていってます。特に書式の決まっている県職員互助会マッサージ券などを、パソコンで書くことはできません。カルテ管理については、点字で書いてファイルしております。また、確定申告の書き込みは、患者さんに税理士が来院されてますので、有料でお願いしています。保険の取り扱いは、父に手伝ってもらいながら行ってましたが、亡くなってからは扱っていません。治療院の事務的サポートは必要です。

     今日のテーマの「あはき業は職業的自立のセーフティネットになりうるのか?」についてですが、開業する場合は相当な覚悟と忍耐が必要です。開業すれば何とかなる、という状況ではありません。若い人たちには勧めません。営業時間はあってなきが如し、で依頼されれば受けないと患者さんを増やせませんし、夫は20年間無休で働いてくれました。それから施術者が視覚障害の場合、接客業ですので危険性をともなうことも覚悟しなければなりません。過去何度も料金を踏み倒されたことがあります。今後、あはきの会社を立ち上げ、社員として中小企業や駅構内などの施術所へ派遣するような形式が取れたらよいなと思います。”

     Nさんのウィットにとんだ話の中で、「相当な覚悟と忍耐」という言葉が何度か使われた。あはき業の実態を凝縮した、実に重みのある言葉である。こうした現実を理療科教員たちや盲人福祉のリーダーたちは、どんな想いで聞くのだろうか、と苛立ちを覚えたほどだ。最後にNさんが、「夫婦でがんばってきてよかった」と生きがいについて触れられたのは、30年間の実績と自信の現れだ、と同じあはき師としてうなづきながら聞いていた。

    3.終わりに

     パネルディスカッションの質疑応答で、同僚にサポートを依頼する際の基準や図表の処理、さらには、昇進・昇格の実情などについての質問が出たが、どれも今後の課題でもあるので、詳しい報告は別の機会にしたい。ただ、ひとことだけ記すならば、改めて職場環境の厳しさを物語るものであった。このような企画を、もう一回開いてみる必要がありそうだ、と私は感じている。

     ※筆者注(拙稿は雑誌『視覚障害』2012年1月号に発表したものを、一部省略して掲載させていただいた)。

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    「ロービジョンケア」診療報酬化決定について(報告)~「ロービジョンケア判断料」~

     2009年10月に雇用連創立30周年記念祝賀会が開催されたのは、つい最近のことのような印象がありますが、ロービジョンケアの診療報酬化実現の支援をはじめたきっかけは、この日の記念講演にはじまったように思います。

     その祝賀会の、記念講演者は、日本ロービジョン学会の高橋広理事長でした。

     講演は、最近話題になりはじめているロービジョンケアに関し「視覚障害者の就労とロービジョンケア」と題するもので、最新の不治の病に対する医療技術について共有すると同時に必要性を認識しました。

     田中章治会長は、この講演をきっかけに早速、視覚障害者の立場から同年10月12日付厚生労働大臣あて「ロービジョンケア診療報酬化実現」の要望書を提出しました。

     このロービジョンケア診療報酬化実現は、日本ロービジョン学会が発足時から目標の一つとして提案し続けていたテーマでしたが、同学会の上部機関である日本眼科学会が中心となり、日本眼科医会、日本ロービジョン学会が共同して、厚生労働省に正式な手続きを経て提案してきた背景があります。

     雇用連が、支援をはじめる数年前になります。

     支援を開始するにあたり、雇用連では不治の病に対する従来の眼科医療とこの新しい「ロービジョンケア」がどのように違うかシンポジウムを開催し、その違い等を学びました。

     従来の眼科医療が「患者に対して本疾病には、未だに治療法がない」と、告げるだけで、患者はむなしさをかみしめるだけにとどまっていたことに対して、「ロービジョンケア」は、見えにくくても、「保有視機能の活用を助言してくれること、音声パソコン、補助機器の活用等により働き続けられる助言を行ってもらえること、生きがいを失いかけている患者に希望を抱かせること、社会生活の改善に大いに役立つだろうことが予測できること、等々の認識を共有しました。

     このような経緯を経て、日本ロービジョン学会などが進めているロービジョンケアの診療報酬化実現の側面支援が開始されることになりました。この後、なるべく多くの視覚障害者の支援の拡がりを図り、併せて当局に印象づけるため、「ロービジョンケア診療報酬化推進委員会」を立ち上げました。

     この委員会が推進母体となり署名活動を開始し、集まった2万余通の署名簿をもって大塚厚生労働副大臣、吉田衆議院議員等への陳情を繰り返し展開してきました。

     その後、厚生労働省と毎年行われている交渉でも繰り返し要望を重ね続けてきた内容等に関しては、「ロービジョン関係署名推進ニュース」でその都度お知らせしてきたところですが、支援開始から2年数ヶ月目の2012年2月20日(月)に行った厚生労働省交渉において、同省医政局医療課の担当官から、次のような朗報を一早く知らされました。

    1. 2月10日、中央医療保険協議会(中医協)は、「ロービジョンケア診療報酬化」を学会等の提案にもとづき平成24年度から実施することを決定したこと。
    2. 今回の告示、施設基準の告示、そしてそれぞれに行う通知は、3月上旬に行うことを予定していること。
    3. 点数は、250点であること。
    4. 厚生労働省のHP等に掲載を予定していること。(録音から抜粋)

    などと、診療報酬化が「ロービジョン検査判断料」として、晴れて認められたと回答がありました。

     この交渉後、厚生労働省は予定通り、同省HPに、「平成24年度診療報酬改定関連通知」(平成24年3月5日事務連絡)「診療報酬厚生労働大臣H24厚労省告示第76号」を公表しました。

     上記のような経緯を経て「ロービジョンケア」の重要性をいち早くテーマとしてきた「日本ロービジョン学会」の提案に賛同し、視覚障害当事者も自らのこととして側面から支援してきました。

     以上のことからもわかるように「ただただ、残念ですが治療法がないんです」などと言われるだけの医療に対して、このたびのロービジョンケアの必要性を認めた行政の決定は、不治の疾病を有する視覚障害者に対して、QOL(生活の質)の向上に寄与するだろう朗報であり、大英断だったと言えます。  このことを支援に加わった一員として心から高く評価すると同時に、今後の普遍的な拡充を期待している一人であります。

     ところで、「ロービジョンケア」という言葉は、徐々に拡がりつつあるように感じていますが、まだ十分に市民権を得たとは言いがたいとも思えるので、シンポジウム等で知りえた情報を視覚障害当事者の立場からとりまとめて概要をQ&A方式でご紹介します。

    Q:従来の眼科医って何だったの?

    A:医師は、第一義的には疾病を治してくれる存在だとだれもが思って病院にかかります。しかし、不治の病にかかっている患者は、ただ「経過観察」で済まされているのが実態だと言えます。医学は日進月歩していると言われていますが、数え切れないほどあると言われる不治の眼疾病に対しては、まだまだ無力な状態にあります。

    Q:ロービジョンケアとは?

    A:日本ロービジョン学会は、「視覚に障害があるため生活に何らかの支障を来している人に対する医療的、教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的等すべての支援の総称である(同学会HPから引用)。」と定義しています。

    Q:「ロービジョンケア」って、どんな医療なの?

    A:医師は、経過観察するだけでいいのだろうか? 治療法がないことを理由に、不治の疾病に苦悩する患者をただ黙認しているだけでいいのだろうか? QOL(生活の質)の向上を図る手伝いをする責務があるのではないか? などとの考えのもと、患者に希望を与える医療技術として欧米で生まれたと言われています。

    Q:「ロービジョンケア」の目的は何ですか?

    A:「発達・成長期にある小児に必要なハビリテーションあるいは主に成人の中途障害に対応するリハビリテーションを目的とするとされています」。

    Q:どんな効果が期待されているの?

    A:「ロービジョンケア」を行う眼科医は、保有視機能の有効活用、心理的ケア、継続就労等々に関する助言を行い、結果的に不治の眼疾病をかかえ、医療から見放されていた患者のうつ的症状の未然防止、視覚障害者のQOLの向上等に寄与する効果が期待されているとされています。

    Q:診療は、どんなことをするのですか?

    A:「全体がぼやけてかすむ」、「真ん中が見えにくい」、「視野が狭い」、「まぶしくて見えにくい」など、さまざまな症状の訴えは、患者同士よく交わされる表現です。また、そのような過程を経て、見えなくなるケースも少なくないと聞きます。この機能劣化の症状に応じて、残された視機能を最大限活用する方法を助言・指導するとされています。いわゆる、「視覚リハビリテーション」とも言われているとのことです。一方、見えなくなった者に対しては、訓練により日常生活がより平易になること、同じように訓練によって仕事ができる分野があること、その他スポーツ等々、いろいろな可能性について助言し、希望を持たせるとされています。

    Q:具体的にはどうするのですか?

    A:見えにくくなった者に対しては、その人のより見える部位を見つけてやり、その部位の有効な使い方、その訓練方法の助言、補助用具、器具などを紹介して、心理的なケア、当事者団体などの紹介を行うとされています。見えない者に対しては、見えなくても働いている事例の紹介、働ける可能性の助言、単独歩行、音声パソコン等の存在、それらの訓練施設、当事者団体などの紹介を行うとされています。ただ、見えにくくなった者あるいは見えない者の間では、細かく分類し得ない微妙な部分もあると思われるので、各々の場面において重複することはたくさんあると言われます。

    Q:そんな眼科は、どこにあるの?

    A:すでに一部「ロービジョンケア」の看板を掲げていた眼科はあると思いますが、この公表された診療報酬化にもとづく眼科かどうかを見分ける方法は、明らかにされていないのでたしかなことはわかりません。地方厚生局に届け出ることになっているので、ここでは把握しているとは思われますが、いちいち個人に教えてくれるかどうか不明です。ものすごく結果論的で頼りない話ですが、個々の眼科で「ロービジョンケア判断料」を徴収されたかどうかは、目安になります。なお、手がかりを得る方法としては、日本ロービジョン学会のほか、日本眼科学会、あるいは日本眼科医会等のホームページを閲覧するとか、尋ねる方法もあるかと思います。

    ■厚生労働省告示第76号抜粋

    ・平成24年度診療報酬改定に関する通知について

    ロービジョン検査判断料250点

    注)別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に1月に1回に限り算定する。

    D270-2 ロービジョン検査判断料

    1. 身体障害福祉法別表に定める障害程度の視覚障害を有するもの(ただし身体障害者手帳の所持の有無を問わない。)に対して、眼科学的検査(D282-3を除く。)を行い、その結果を踏まえ、患者の保有視機能を評価し、それに応じた適切な視覚的補助具(補装具を含む。)の選定と、生活訓練・職業訓練を行っている施設等との連携を含め、療養上の指導管理を行った場合に限り算定する。
    2. 当該判断料は、厚生労働省主催視覚障害者用補装具適合判定医師研修会(眼鏡等適合判定医師研修会)を修了した医師が、眼科学的検査(D282-3を除く。)を行い、その結果を判断した際に、月に1回に限り算定する。

    ■厚生労働省告示第78号抜粋

    第五「検査」の十一の二(44ページ)「ロービジョン検査判断料の施設基準」の項

    「当該保険医療機関内に当該療養を行うにつき必要な常勤の医師が配置されていること。」
    「別添1」の第27の2(35ページ)

    「1 ロービジョン検査判断料に関する施設基準」

    「眼科を標榜している保険医療機関であり、厚生労働省主催視覚障害者用補装具適合判定医師研修会(眼鏡等適合判定医師研修会)を修了した眼科を担当する常勤の医師が1名以上配置されていること。

    ■ことば「診療報酬」(解説・平成24年2月)

    中央社会保険医療協議会(中医協)総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)

     診療報酬の金額ですが、これは診察や手術など様々な医療行為ごとに国によって決められています。原則として、2年ごとに金額の見直しをするようになっています。これは、経済状況や賃金の変動などに対応させる必要があるからです。その診療報酬の金額の決め方ですが、まず、政府が予算編成に合わせて診療報酬の改訂率を決めて、診療報酬全体の財源を決めます。

     個別の医療行為に関することは専門家でなければわからないため、厚生労働省は診療報酬の改訂を中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問します。それによって、中央社会保険医療協議会は、財源の範囲内で診療報酬の分配を協議し、診療報酬改定の内容を厚生労働省に答申します。

     中央社会保険医療協議会のメンバーは、できるだけ公平で中立的な立場から決めるために、支払いをする側と医療を提供する側と利害関係の無い側の三者構成となっています。

    支払いをする側(7人)

    医療を提供する側(7人)

    利害関係の無い側(6人)

    (文/下堂園 保)

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    国家公務員試験の点字試験時間が1.5倍に延長される

    田中章治

     2011年11月1日、雇用連と全日本視覚障害者協議会は、人事院人材局の井上参事官らと懇談する機会がありました。席上、人事院側から、平成24年度から新たな国家公務員試験制度が導入されることが示されました。すなわち、従来の試験区分、第Ⅰ種、第Ⅱ種等に代わって、総合職試験、一般職試験と言うような区分になることが明らかとなりました。そして、新たな採用試験での点字試験は、総合職試験(大卒程度)の「法律」と、一般職試験(大卒程度)の「行政」のみで、実施されることの説明を受けました。

     これに対し、私たちは、次のような要望を伝えました。

    等でした。

     その後、本年3月になって、点字試験の時間がこれまでの1.33倍から1.5倍に延長されることがわかりました。具体的には、選択式、記述式、論文のいずれも一般の試験時間の1.5倍となりました。これは、長年にわたり国家公務員試験の点字受験問題に取り組んできた、雇用連ならではの成果と言ってもよいでしょう。

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    厚生労働省ホームページ掲載記事から

    事業主のみなさまへ

     平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります。すべての事業主は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります(障害者雇用率制度)。この法定雇用率が、平成25年4月1日から以下のように変わります。 事業主の皆さまは、ご注意いただきますようお願いいたします。

    厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

    事業主区分 法定雇用率 現行⇒平成25年4月1日以降
    民間企業 1.8%⇒2.0%
    国、地方公共団体等 2.1%⇒2.3%
    都道府県等の教育委員会 2.0%⇒2.2%

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