雇用連情報 第55号

発行 全国視覚障害者雇用促進連絡会
発行責任者 田中章治
連絡先 田中章治(会長)
〒334-0071 埼玉県川口市安行慈林645-4
電話 048-285-9935
電子メール koyourenアットマークnpo-jp.net
URL http://www.koyouren.npo-jp.net
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郵便振替 00150-4-67809(加入者名)全国視覚障害者雇用促進連絡会
発行日 2009年7月1日

(この情報誌は活字版(標準サイズ)、点字版、フロッピーディスク版、電子メール版(雇用連メーリングリストで配信)で製作されています。必要な方はご連絡ください。)なお、都合によりテープ版については現在製作を中止しておりますが、必要な場合は検討します。


目次

まえがき
1 厚生労働省交渉報告
2 雇用連主催のセミナーが開催されました
3 職場レポート
@ 気持ち踏みにじる私の職場の実態 〜 勉強した経理の経験を生かしたい 〜

A「私の職場」― (株)KDDIチャレンジド
B「私の職場」― 皆光園
C「私の職場」― 東洋英和女学院
4「見えない、見えにくく」なってからの生活を豊かにする ― 「視覚障害リハビリテーション」の有効活用の勧め!!
5 障害者雇用促進法改正のポイント
6 機能訓練指導員の現状と課題
7 情報コーナー
8 (資料)特定求職者雇用開発助成金について(厚生労働省ホームページより)

まえがき

お待たせしました。雇用連情報55号をお届けします。

昨年9月に始まった経済危機が、私たち障害者にも影響を与えています。政府もめまぐるしく変わる情勢の中つぎつぎと政策を打ち出しわれわれもフォローしきれないというのが正直なところです。

したがって今回は情報が満載です。最後までお付き合いください。


厚生労働省交渉報告

[編集部より]この報告に掲載された制度や統計は、交渉時点のものです。その後制度等が変更されている可能性がありますので、実際に助成等を受けようとする場合にはハローワークに御確認ください。

雇用連は2009年2月23日、15時から17時まで恒例の厚生労働省との交渉を行いましたので以下に報告いたします。

平成21年2月23日

厚 生 労 働 大 臣
舛添 要一様

全国視覚障害者雇用促進連絡会
会長 田中 章治

厚生労働省への要求

要求1. (1) 今回の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正によって、視覚障害者の雇用が促進されたかどうか示してください。また、この改正を効果的にするため何らかの施策を実施したかどうか教えてください。
回答: (以下要求6までは障害者雇用対策課による) 今回の法改正は、障害者雇用納付金の中小企業への適用拡大、短時間労働等の雇用義務対象への追加などを内容としています。平成22年4月1日から順次施行するため、視覚障害者への雇用促進効果については、現段階では把握することができません。障害者の雇用機会を拡大するためには、中小企業における障害者雇用促進をはかる必要があることから、中小企業に対する支援策の充実強化をはかることが重要と考えています。このため今般の景気後退を踏まえつつ、平成20年度に中小企業における障害者雇い入れの際の助成制度を拡大し、12月1日から実施するとともに、初めて障害者を雇用する中小企業に対する奨励金を入れることになりました。

(2) また、最近問題になっている派遣労働者の解雇に象徴される経済危機が障害者雇用に影響しているかどうか実情を示してください。
回答:

障害者の雇用情勢をみると、今年度12月末までのハローワークにおける就職件数は、前年同期比で2.0パーセント減となっております。また解雇者数については今年度の上半期で前年同期を6.2パーセント上回るとともに、10月125人、11月134人、12月265人と月ごとに増加しており、年度末にかけて障害者の雇用情勢の悪化が懸念されているところです。このような状況を踏まえ、2度の補正予算において、障害者の雇い入れにかかる助成金の創設等を行ったほか、去る2月10日に厚生労働大臣より日本経済団体連合会に対して、在職中の障害者の雇用の維持、新たな雇用の促進、特別支援学校新規学校卒業予定者の雇用拡大、職場実習の受け入れ促進、障害者の働く場の仕事の確保を内容とする、障害者の雇用維持、雇用拡大に関する要請を行ったところでございます。今後とも障害者の雇用・解雇状況を注視しつつその雇用の促進をはかってまいりたいと存じます。

(編集部注)この数は障害者枠で雇用され、かつ、会社の都合で解雇されたもの。実際には表向き自己都合退職にされた人がこれとは別にいると思われる。


(3)障害者権利条約の批准にむけて、障害者雇用における合理的配慮について研究会を行っているようですが、最新の動向をお知らせください。
回答: 障害者権利条約には労働雇用分野において、職場における合理的な配慮の提供というこれまでわが国にない概念が盛り込まれていること等を踏まえた上で、障害者雇用促進法制において、どのような措置を講ずべきかについて考え方の整理をする必要があるため、労使・障害者関係団体等の関係者からなる、労働雇用分野における障害者の権利条約への対応のあり方に関する研究会を昨年4月から開催しているところでございます。これまでに計9回開催しておりますが、有識者から各国の制度に関するヒアリング、障害関係団体からのヒアリングを実施し、現在はいただいた御意見を参考に、差別禁止、合理的配慮、救済措置等の論点ごとの検討を行っているところでございます。今後は本年度を目途として、中間とりまとめを行い、今後の検討に活かしたいと存じます。
要求2. 視覚障害者の雇用について、年次的にその推移をお示しください。  
回答: 公共職業安定所の紹介による視覚障害者の就職件数は、平成19年度は1,850件(うち重度は1,020件)、身体障害者全体は24,135件で視覚障害者の割合は7.42パーセントです。
要求3. 国・地方公共団体は、特定身体障害者(視覚障害3級以下)に適用される特定職種(あん摩マッサージ指圧師)特定身体障害者雇用率100分の70を達成するため、法に基づく採用計画を作成し、すみやかに達成するようにしてください。また、同雇用率の達成が努力義務となっている民間企業に対しては、達成のための指導を強化し、必要に応じて雇い入れに関する計画の作成を命じてください。
回答: 達成指導を行ってまいります。なお、企業等で社員の健康管理にたずさわるヘルスキーパーや、特別養護老人ホーム等の福祉施設において、入所者の運動機能の維持向上にたずさわる機能訓練指導員というあはきの専門技能を生かした職業での就職について、事業主や障害者に対して紹介をしているところでございます。また、特定職種の雇用状況は、平成20年度においては、国及び地方公共団体においては対象機関数48、特定身体障害者数131実雇用率67.1パーセント、民間企業については対象企業数56、特定身体障害者数982実雇用率39.3パーセントとなっております。
要求4. 医療機関及び介護保険施設において、視覚障害者が働きやすいように職場介助者制度(非事務職)について、次の改善をはかってください。

(ア)医療機関及び介護保険施設においては、職場介助者制度(非事務職)を知らないことが多く、また、視覚障害者が職場介助者の委嘱を希望しても事業主が消極的な事例があるので、本制度について周知徹底をはかってください。
回答: 公共職業安定所が障害者の職業紹介を行う場合は、通常、各種助成金制度が掲載されたパンフレット等を使って雇用援護制度の説明を行っていると考えられますが、保健医療機関の場合、患者のかなりデリケートな個人情報を直接取り扱う立場にあり、その守秘義務から職場介助者とはいっても、職員ではない部外者を委託して活用することに抵抗を示す場合があることは想像に難くありません。なお、消極的な事例があるとのことですが、具体的な情報があれば、所管のハローワークや高齢・障害者雇用支援機構から、各都道府県の障害者雇用促進協会などに連絡していただくようお願いします。

(イ)職場介助者制度(非事務職)に、配置を加えてください。
回答: 職場介助者制度(非事務職)に配置を加えることについては、御要望の方向で前向きに検討するよう指示しております。

(ウ)職場介助者制度(非事務職)において、同一職場内に介助を受ける視覚障害者が複数いる場合に、一人の職場介助者が介助ができるようにしてください。
回答: 要望の趣旨はこちらでも理解させていただいております。ただそのために介助の中身が薄くなっては困りますので、そのような懸念がないとして、手続き的な面で矛盾や問題がないか調べていく必要がございます。

(エ)全雇用期間に対して、職場介助者を適用してください。
回答: 今後納付金財政が厳しくなっていくことが予想されることもあり、機構本部において助成金全体の見直しが行われておりますが、本助成金は障害者雇用納付金会計を財源としているものであり、障害者雇用に伴う経済的負担の公平という性格上、他の助成措置との均衡を配慮する必要がございます。このような中で昨年の雇用分科会でも助成金の支給期間の見直しが議論となり、本助成金の全雇用期間の拡大についても話題となったところでございます。財政の問題もさることながら、何年が適正かということについては、障害の特性なども配慮しつつ、他の障害との関係や今後問題となるであろう権利条約でいうところの合理的配慮との問題もからんでくると思いますが、それらを踏まえた検討が行われているところでございます。
雇用連: 全雇用期間に延長してほしい。
回答: 障害者雇用対策課としてはよくわかっているが、機構で全面的見直しをおこなっており、財源の問題でかなり厳しいといわれている。また使用者からも、視覚障害者については年限を延長した方がいいのではないかという意見もある。やり方としては更新を繰り返すというのもある。
雇用連: 機構にも要望した方がよいのか。ネックは財源だと思うが、納付金に頼っているとますます厳しくなるので、なにか公的な支援をプラスアルファしていかなければならないのではないか。
回答: 審議会で発言してもらう必要がある。納付金では公務員への支援ができない問題もあり税金を使うかどうかも議論されている。アメリカのデータでは大してお金がかからないのではないかといわれている。
要求5. 病院マッサージ師や電話交換手などを解雇された視覚障害者に対する雇用対策を立て、再就職支援の他、ヘルスキーパーや事務的職種など新たな職域を開拓し、再就職のための支援を行ってください。
回答: その資格・技能を生かせる職種にできるだけ速やかに再就職できるよう職業相談・職業紹介に努力しております。新たな職域拡大については、他の障害分野も含め高齢・障害者雇用支援機構などで研究が行われており、そうした研究成果も踏まえてさらに検討してまいりたいと思います。いずれにしてもハローワークを中心に専門の職員や職業相談員がケースワーク方式により、地域障害者職業センターなどの関係機関と連携したチーム支援を行い、再就職のための技能の習得と向上をはかることも含めた支援を行ってまいります。
要求6. 障害者雇用納付金制度に基づく助成金及び障害者雇用継続助成金に基づく助成金の申請手続を簡素化してください。並びに、都道府県協会において、申請手続を熟知するよう指導し、申請に係る手続を丁寧に助言するようにしてください。また、申請から給付までの時間を短縮してください。
回答: 申請手続きの簡素化については高齢・障害者雇用支援機構において従来から取り組んでおり、今後においても助成金制度の利便性や事務の合理化をはかり、申請書等の内容や事務手続きの見直しを進めていくときいておりますが、より一層の簡素化に取り組むよう機構にお伝えいたします。また都道府県協会・地方協会の職員の接遇の問題については、機構が毎年会議を開催し、支持しているところでございます。なお、申請から給付までの時間短縮についても、従来から取り組んでいるときいていますが、より一層短縮に取り組むよう機構にお伝えいたします。
要求7. 特定求職者雇用開発助成金制度の助成方式が、07年10月雇い入れ分以降、低率制から定額制になりましたが、従前の制度に戻し、助成機関を延長してください。 回答・職業安定局雇用開発課:従前の定率助成は対象労働者を雇い入れた事業所の前年度の確定保険料等から算定した平均賃金に相当するため、いったいこの人を雇うといくら助成金が出るのか分かりがたいという御意見を頂戴しておりまして、より分かりやすい制度とすることで助成金の活用をはかり、より一層の雇い入れ促進をはかるために定額助成としたところです。助成期間につきましては、従来から緊急就職支援者であれば6箇月、就職困難者であれば1年間、就職困難者のうち重度障害者等の方は1年6箇月としておりすでに期間延長をはかっているところでございますが、平成20年度の1次補正で平成20年12月の雇い入れから中小企業が障害者を雇用した場合の助成期間を中小企業の場合さらに6箇月延長しました。  また、中小企業については、平成21年2月6日の雇い入れから、平成20年12月に適用した助成金の1.5倍になっています。
雇用連:

分かりやすくしたというが財源がないといってくれた方が分かりやすい。

(参考として厚生労働省ホームページより該当箇所を引用します編集部)

要求8. 障害者雇用関係の資料については、引き続き、電子化、点字化をすすめてください。特に研究報告書について不十分なのでよろしくお願いします。
障害者雇用対策課:

機構本部のホームページはPDFファイルとともにテキストファイルも掲載し、視覚障害者に配慮していることは御承知のとおりでございます。また、障害者職業総合センターの研究報告書については、PDFファイル形式のものが多く古いものはテキストファイルに変換できませんが、最近は変換できるように配慮して掲載しております。できるかぎりの改善をはかっていきたいと存じます。なお、報告書本体については、以前より当該報告書の裏表紙に、アイマークを付し点訳はもちろんのこと、音訳・拡大についても著作権者の許可なく自由にできるように配慮しているところでございます。また、視覚障害者はテキストデータを希望する場合は申し出てほしい旨の記述をしております。障害者雇用関係の資料については、引き続き視覚障害者が読めるようなかたちでの電子化に努めたいと考えております。
要求9. 以前から要望している視覚障害者が働く職場に訪問してのパソコン等のIT機器の操作指導について、06年度の回答の中で、「ジョブコーチが有効」との見解をうかがいました。これを実のあるものにするため、パソコンサポートの技術のある視覚障害者専門のジョブコーチを増やしてください。
障害者雇用対策課:

職場適応援助者助成金を創設し、就労支援ノウハウを有する福祉施設や事業所が自らジョブコーチを配置して、援助を行う場合に助成しております。また、ジョブコーチの養成については、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が実施する養成研修の場に加えてノウハウを有する民間を活用した養成研修(有料)を行うことによって支援ニーズの増加に対応しております。(民間は現在4団体が厚生労働大臣により指定されている。)しかしながら地域障害者職業センターに配置するものも含めてジョブコーチの養成にあたっては、様々なニーズに対応できるように、障害特性に配慮した支援技術について、全般的な研修を行っており、特に視覚障害者に特化した支援を想定しての要請はしておりません。そこで、先ほど申しあげた助成金は、視覚障害者の就労を支援する団体がジョブコーチを配置していただければ、ジョブコーチを活用した支援が可能となっておりますので、この助成金を効果的に活用していただきたいと存じます。  ジョブコーチの養成は東京近郊では、障害者職業総合センター(無料)と民間団体(有料)で行っています。全盲のジョブコーチも数は少ないながら活動しています。
要求10. 「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて」(平成19年1月29日、人事院通知)により、国家公務員である中途障害者が職務を遂行するために必要なリハビリテーションについては、病気休暇や研修制度の中で受けることが可能となりました。これに準じた取り扱いがされるよう、民間企業に働きかけてください。例えば東京労働局では、「就業規則の手引」「就業規則の作成例」を作成していますが、このような資料に上記の内容を盛り込んでください。また行政指導を行ってください。
障害者雇用対策課:

民間企業の就業規則に反映するかどうかは労使間で決める事項となっています。
要求11. 民間に模範を示す意味からも公務員である視覚障害者への職場介助者制度を創設するよう、人事院にはたらきかけてください。
障害者雇用対策課:

公共機関は民間に率先垂範して障害者の雇用を実行する立場にあり、障害者の働く環境支援体制の整備に努めることが求められるものでございます。国家公務員採用試験等が点字により実施されていることから、人事院とも協力しつつ、今後とも視覚障害者の働く環境や支援のあり方について適宜各省庁に広告し理解を求めて行きたいと考えております。なお、現在労働雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会が行われております。その中で視覚障害者に対する合理的配慮として人的支援が不可欠であるとの意見が障害者関係団体から述べられております。条約が批准された暁にはそのような配慮が当然求められることとなると考えております。各省庁に障害別に必要な配慮なども伝えています。
要求12. 視覚障害者の職場定着・安定のために、特定の職業安定所に視覚障害者 の雇用を専門に担当する相談員を配置してください。  
障害者雇用対策課:

ハローワークには障害者職業相談員(障害者専門支援員、障害者相談担当)を配置し、障害者の職場定着に努めているところでございます。障害者担当職員の研修内容についても、実際に視覚障害者がパソコンを使用し仕事をしていることを実感できるようにするなど、研修内容についても工夫してまいりたいと存じます。視覚障害者の雇用を専門に担当する相談員の配置はしておりませんが、これらにより、視覚障害者の支援についても対応しているところでございます。今後は地域の関係施設等の社会資源とも密接に連携・協力しつつ、チームによる支援を推進してまいりたいと考えております。
要求13. 「福祉施設における視覚障害者の雇用促進のための障害者雇用マニュアル」が改訂されました。その後の介護保険施設における視覚障害者機能訓練指導員に対する雇用促進への厚生労働省と各都道府県の取り組みについてお示しください。
障害者雇用対策課:

平成18年7月13日付の課長通知をもって、地方労働局、各ハローワークに対して同マニュアルの有効活用について、指導したところでございます。一方全国の介護老人福祉施設に対しては機構から同マニュアルを送付したところでございます。また全国労働局担当会議においても、周知徹底をはかっているところでございますが、現場における工夫としては、課長通知に基づいて新しく施設をオープンする予定の社会福祉法人に新規雇用を働きかけたり、出向いて求人開拓をするなど、積極的に取り組んでいるところもあります。しかし、他方でそうでないところもございますので、今後とも指導していきたいと考えております。
雇用連: 視覚障害の機能訓練指導員の半分は東京都内で働いている。地方にも宣伝を。社会福祉協議会や行政の介護保険施設担当にも、もうすこしアプローチしてほしい。また、ますます全盲の人が機能訓練指導員として採用されにくくなっている。こうすれば全盲の人でも働けるということをマニュアルを活用してアピールしてほしい。
要求14. 2007年4月より介護老人福祉施設において個別機能訓練加算となり、個別機能訓練計画書が義務づけられました。現在の各施設の個別機能訓練計画書では視覚障害者が使用できず働き続けることが困難な状況になっています。個別機能訓練計画書を視覚障害者が使えるような書式や音声対応にしてください。
回答: 老健局老人保健課:昨年7月29日に通知を出し、例えば通所介護計画の中に個別機能訓練の内容が記載されてあれば、それとは別に計画書を作らなくてもよいことにしたところです。
雇用連: 機能訓練指導員の数を表にしてみると、平成18・19年度に増加数が減少している。全部が視覚障害者ではないが、やはり(訓練計画書などの)書式を設定することによって働きにくくなっていることが考えられる。現場は人をサポートしている状況ではない。(訓練について)3箇月ごとに見直さなければならないのだから、それはケアプランも変更するということ。これを見直さないといくら書式を簡素化するといっても現状は変わらない。
回答: もし状態が変わらなくて同じでいきますよとなれば、それを訓練員に伝えればよい。
雇用連: 入所日がみんな違うので、絶えず本人や家族に訓練の変更について同意をとっていて、訓練やマッサージができない。
厚労省: 今どのように同意をとっているか。
雇用連: 個別機能訓練について、継続の場合サインやはんこはいらない。ただ、きちんと出しなさい、同意を得たことを記録に残しなさいとなっている。変化があった場合はサインをもらいなさい。利用者は入退院を繰り返すなどして機能が落ちている。そのたびに機能訓練を見直す。かつ3箇月ごとの見直しもある。ちっとも軽減になっていない。現場では、サービス計画に「入れるなら半年や1年に1度の(同意で)いいのではないかという議論がある。私は、変化があったときはプランの見直しとか書き換えは必要だが、3箇月ごとにかならず見直せというのは必要ないと思う。
回答: 事務負担の見直しはいつでなければできないということはないので、継続的に考えていく。
雇用連: 兼務規定があるため機能訓練指導員の大半は看護師。
回答: 現状として内容が看護師がやっているせいでよくないというのなら兼務規定を見直さなければならない。
雇用連: 今日は視覚障害者の雇用促進ということで要望している訳で、パイが看護師にいってしまっているのが問題。
回答: その話は分かるが私ども介護の立場からは、その理由だけでは看護師の兼務規定をなくすわけにはいかない。利用者さんを第1に考えなければならない。
雇用連: 利用者さんを第1に考えるなら専従じゃないのか。
回答: そのときに専従じゃないとだめだということなら専従になる。専従にすればコストがかかり報酬も上げなければならない。
雇用連: そういう風にいってくれれば分かる。介護保険が始まったとき、特養を介護保険制度に入れるために兼務規定が設けられた。ケアマネージャーも最初は足りないからどんなことでもなれたが、今は質が問われて難しくなっている。財源も含めて質の問題を考えてほしい。これを考えてくれれば結果として視覚障害者の雇用も進む。
雇用連: デイサービスの機能訓練についても書式の負担がないように配慮してほしい。盲学校の進路担当の立場から見ると、通所介護の場合マッサージ師の7、8割は視覚障害者。危険度やコミュニケーションの問題からいって、ある程度利用者がしっかりしている通所の方が全盲の人にはよい。
要求15. 介護保険下における個別機能訓練加算を増額してください。
回答者14と同じ:

通所介護の個別機能訓練について、平成21年から、いままで27単位の加算でしたが、それに加えて42単位の加算を新たに作っています。これは、今までの個別機能訓練の用件に加えて、利用者の自立の支援等日常生活の充実に資することを目的として複数の機能訓練の項目が査定され、グループに分けて活動を行っていることを条件に算定できるものです。
要求16. 「医療機関における視覚障害者であるマッサージ師の障害者雇用マニュアル」を作成してください。 
回答: 雇用支援機構本部に伝える。
要求17. 診療報酬における、「消炎鎮痛等処置」(手技による療法)点数を増額してください。
保健局医療課(回答代読):

処置等の技術料については、中央社会保険医療協議会のもとに設けられた医療技術評価分科会において、関係学会などから上がった要望に対してその科学的根拠を検証し、適切な点数設定に努めておりますが、昨今の社会保障を取り巻く厳しい情勢のなか、消炎鎮痛等処置を増額することが難しいことは御理解ください。
雇用連: ヘルスキーパーのなかには年俸360万ももらえる人もいる。このように高い評価をされている一方、25年間も35点の診療報酬というのは問題。
(以上)

雇用連主催のセミナーが開催されました

先ごろ、雇用連主催のセミナーが開催され、視覚障害者等、約40名の参加がありました。

以下、簡単にその内容を報告します。

日時 2008年12月7日(日)午後13時30分〜16時30分
会場 東京都障害者福祉会館2階B1集会室
内容

第1部 講演「障害者の職域拡大等実践的手法の開発に係る関係資料について」
  講師:三島卓司氏(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構雇用開発推進部職域開発課長)
第2部 職場報告
 権平嘉昭さん(病院マッサージ師、全国病院・介護マッサージ問題連絡会)
 中丸忠治さん(機能訓練指導員、特養マッサージ師の会)
 酒井清道さん(ヘルスキーパー、(株)西友サービス)

ところで、障害者や高齢者など、就労面で特に困難を抱える人々のために支援の活動を展開している機関として、「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構」があります。ここでは、「障害者の職域拡大マニュアル」や、雇用納付金にもとづく「助成金ガイドブック」など、私たちにとって有効な各種資料の発行に関しては、豊富な実績をもっています。

そこで今回、「機構」の職域開発課の三島課長をお招きし、表記の演題の講演をしていただきました。障害者雇用関係資料の発行の現状、資料の点字やテキスト化等の状況、視覚障害者に有効な資料発行に向けての今後の取り組みなどについて、お話を聴くことがでたと思います。私たちにとって有益な情報を得ることができました。

後半は、あはきを活用し、各分野で働いておられる3氏から報告をいただきました。各々困難や課題を抱えながらも、職場でがんばっておられる様子がよく伝わってくる発表でした。

なお、このセミナーの模様は、雇用連のホームページの中の「肉声資料室」から音声で聴くことができます。また、三島氏の資料(点字版)の残部が若干ありますので、ご入用の方は、会長までご連絡ください。

(文責: 田中章治)


職場レポート

@ 気持ち踏みにじる私の職場の実態
〜 勉強した経理の経験を生かしたい 〜  

このたび、日本でも有名な大企業に雇用されている方から驚くような職場の実態に関する投稿がありました。

障害者の権利条約の批准が注目されている昨今、障害者を多数雇用しているいわばだれもが知っている「優良企業」のこのような実態を防止するためにも早急な批准と国内法の整備が望まれています。

(編集部)

◇    ◇    ◇    ◇

(文・匿名希望)

私は2歳発病の1型糖尿病です。

糖尿病と聞くと、暴飲暴食で自己コントロールができない贅沢病と言われていますが、1型というのは、すい臓のランゲルハンス島が欠如していて、インシュリンを自分で作ることができないホルモンの代謝異常と血管の病気です。

しかし、誤解をされやすい病気なので、就職に関しては色々と考えさせられました。自立でき、一生勤められる仕事につきたいと思い、税理士を志していたので、主に会計事務所を中心に就職活動をしていました。でも、理解を得ることは難しかったです。

面接時に糖尿病であることを話すと「贅沢病かぁ〜」と言われ、少し詳しい方でも「1型ねぇ重い方のだろう?うちの会社では無理だよ。可哀想だけどそういう人は、国か大手にいった方がいいよ」と言われてしまいました。

そこで、初めは病気を隠して入社し、慣れて信用がついてきた頃に、病気のことをつげると退社をせまられる状態でした。

こうした不安定な生活から、少しずつ病状は進行し24歳の時に腎症になり、2年間は派遣で勤めながら通院と通学生活をしていました。主治医の先生にも将来を考えて、大手に就職するように勧められました。当時、透析の心配は無く4級の腎障害認定を受け、障害者の合同面接にて現在の会社へ採用されました。

小児病院へ報告しに伺うと、病棟の子供たちが寄ってきました。 「お姉ちゃん、○○会社へ就職できたよ。」と言うと「どうせアルバイトでしょ?僕たち病気だから・・・」とうつむいてしまったので「正社員で採用されたんだよ、お姉ちゃん、頑張るよ」と言うと「良かったね。僕は車が好きだからトヨタかホンダで働きたい!」「ソニーの方が音がいいからソニーだねー」と病棟は大騒ぎになってしまいました。

この病棟の子供たちは、難病特定疾患者で、移植を待ちながら他界していく子もいるので「どうせ僕たち死んじゃうんでしょう」と、幼いながらも将来には悲観的な子が多く、死んだ魚のような目をした子供たちが、自分のことのように喜んで言い合いをしている姿を見ると、この会社で一生勤めたいと改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

地元ハローワークにも連絡をし、採用通知書を発行していただくように指導を受けました。人事部へ、雇用手続きに必要な書類を提出しに伺いたいことと併せて、採用通知書を発行して頂けないか相談すると、他社を受けたか尋ねられ、「もしうちに来たければ、他社を断らないと採用通知書は発行できない」と言われました。少し不安に思いながらも大会社だから大丈夫だろうと思い直し、再度連絡をした時は、「入社式までには全て用意しておきます」と怒られてしまいました。動きがとれず困ったので、ハローワークへ相談しに行き、ハローワークの窓口から電話をして、被保険者証が無ければ保険証発行手続きができないこと、注射治療をしている為、月一度の通院が必要なことを話しましたが、全く取り合って頂けず、電話の切り際には、「もうこの女しつこくて嫌だぁ」と文句が聞こえてきました。

やり取りを聞いていたハローワークの担当者も「本当に○○会社だよなぁ? なんだこの対応は、罰金だ、他をあたった方がいいよ」と怒りをあらわにしていました。しかし、3月下旬から就職活動を始めるのは難しく他社を断った後だったので、入社式まで待つことにしました。結局、入社後も用意されずに研修1ケ月が過ぎ、職場配属の日に人事へ問い合わせると、「あなたは、本社勤務なので私の担当ではないのでわかりません」と理解しがたい回答が返ってきました。途方にくれてしまい、配属先の上司へ事情を話し至急、手配して頂きました。手元に届いたのは5月下旬、薬が足りなくなり、一気に病気が進行してしまいました。体調の異常に気付いていましたが、入社したばかりで相談することもできず、早く体を環境に慣らそうと努めてしまいました。

職場でも具合が悪く、様子がおかしい私を変な目で見るようになり、挨拶をしても誰も返事をせず、隣の座席の方へ「おはようございます」と頭を下げると、「あいつに気が有るんだろう」と非常識なこと言われ、猥褻な話の対象に私の名前と病状が利用されました。抗議的な怒りの念と恐怖心から、業務以外では口をきくことができなくなりました。体力的にも精神的にも追い詰められ、2年目に肺結核を患い、休職し完治した後もパワハラ、セクハラは続き、入退院を繰り返し年間通して勤めることができなくなりました。

業務は、▲▲部の総務グループへ配属され、交際費や販売間接費及び一般管理費の主管業務、残業の実績集計をさせて頂きました。勘定科目や認識基準で悩むことはありませんでしたが、庶務的業務では、伺う相手により回答が違ったり、昨日と今日で指示が異なり、分からない事づくめでしたが、頭を下げる回数を増やせばいいと割り切り過ごしました。こうした非能率的な悪条件の中、勤続12年目を迎えています。

現在は、視覚障害2級の中途失明状態ですが、なんとか職場に復帰できました。平成18年10月から平成19年3月まで、勤務管理票の入力をしていました。タイムカードの集計作業のような業務で、部全員(183名)のデータを人事部へ送信し終了するのですが、全員のデータが揃わないと銀行振込みができない為、納期には非常に気を使う業務でした。私が担当になって半年間、一度も納期を守らず振込をできなくしようとしたのが「A」です。 電子メールや電話したうえ、席に取りに行っても提出を拒み、周囲には「彼女が仕事ができないから今月は給料がゼロですよ」と言い、周りから「お前が提出しないからだろう?」と言われると、謝る事もできず、視線をそらして独り言をいうのです。

彼は入社当時から変な人で、一対一になると急に意味不明な事を言い出すのです。話の前後が無く、いきなり隣に座り「僕は7年間●●営業部で嫌がらせを受けました。だから、この会社の人間は絶対に許さないし、信用しません」と。何も言えず業務を始めると、「僕もあんたの注射見てみたいなぁ〜」と言うので、非常に腹が立ち睨み返すと、その日は席に戻って行きました。

そして、業務中に廊下で呼び止めて「僕は「A」といって名前の通り真実しか言いません・・・」と最後まで聞く気がしなかったので、完全無視して業務をこなしていると、豹変して、暴力的な事を言い出すようになりました。「お前なんか死んじまえー」と言われ、みんなのいるフロアーへ戻ると「あんた、伝票入力できたかなぁ?」と変わり気持ちが悪くて仕方なく、上司に相談し席を遠くにして頂きました。離席させられた事を恨み、周囲には「彼女が仕事ができない為に席を替えられた」と吹聴していました。

そして、私の注射が入っている机を断りもなく開けていたので、ビックリして立ち尽くしていると、「この机は、会社の備品だから開けてもいいんだ」と言って立ち去り、その直後に注射がなくなり、ロッカーにもう1本置いておいた注射も無く、糖尿病昏睡で救急車で運ばれてしまいました。 このような出来事が重なり、眼底出血を起こし、網膜症の緊急手術を受け、現在に至っています。

職場復帰に当たっては、エレベータ、コピー機のボタンが見えず、上司からは「見えなくて業務ができないのなら会社を辞めてもらう」と言われ、産業医の先生が上司へ「この人を解雇することはできないんです。逆に訴えられたら会社は負けるんですよ」と指導してくれました。それからは、退職を迫られることはなくなりましたが、逆に無理に業務をさせて病気が進行しては困ると言って、業務をさせず席に座っている状態が続いています。

周りも携帯電話の連絡や設定を省きいい訳に「目が見えないから設定しなかった。経費削減だし・・・」と非協力的な環境にいます。存在を認めないやり方に納得できず、上司へ、過去に職場で注射器が盗まれ糖尿病昏睡で運ばれたこと、わざと体に負担のかかる業務をさせ救急車で2回運ばれたことを報告し、病気の悪化は私だけが問題ではないと訴えましたが「時効だよ」の一言で片づけられてしまいました。

私の目的は、健康を維持しながら長く勤める事です。そして、できることなら、実務をしながら勉強した経理の経験を生かしたいと思っています。健康を考えて訴えてしまうと職と社名を失い、自分を殺して勤めようとすると、障害の重さにうちのめされ、自分の目的を見失ってしまいます。 どの様にすれば、解決できるか悩んでいます。


A「私の職場」−(株)KDDIチャレンジド

埼玉県立盲学校 平成19年度卒
T.S

私の勤務する(株)KDDIチャレンジド社は、KDDIが推進する各種ダイバーシティ施策の一環として、障害者の雇用促進を目的に2008年4月に飯田橋本社ビル内に設立された特例子会社です。社内では視覚障害者によるマッサージ・鍼サービスの他、知的障害者による携帯電話端末分解や肢体不自由者による経理業務を行っています。

所属するリフレッシュルームでは、ヘルスキーパー4名が本社社員及び首都圏に展開する各支社オフィスへ出張し、社員の皆様の疲労回復と健康維持を図ります。

まだまだ経験の浅い私。多様なお客様の要望に苦悩の日々が続いていますが、「気持ちよかった。またお願いします。」という言葉に励まされ、お客様と直接ふれ合う事の出来る仕事の喜びを感じています。「一生懸命やる事、お客様を笑顔にする事。それが自分にとっての幸せでもある事」。これを信念に、向上心を持って今後も頑張ります。


B「私の職場」−皆光園

社会福祉法人 埼玉県社会福祉事業団(皆光園)
K.I

私の職場は埼玉県内10箇所で各種福祉事業を行っている埼玉県社会福祉事業団です。 その中で私の勤務する皆光園(身体障害者療護施設)は県北部の深谷市にあり、自宅から2.6キロで徒歩通勤が可能です。

皆光園は昭和51年4月、県の身体障害者療護施設として開設し、平成18年4月より事業団施設に移行した男女各25名、計50名の重度肢体障害の入所者の介護サービス事業、ショートスティ事業、ディサービス事業、障害者歯科診療所(県指定管理者施設)、聴能訓練(県委託事業)などのサービスを展開している施設です。

当施設の機能訓練担当者は群馬盲専攻科卒で、開設当初より機能訓練を担当されている全盲の方で、知識、技術、話術の三拍子がそろっていて理学療法士からも認められている人物で、視覚障害者でも高度な機能訓練が可能と思わせる私の良きお手本となっている大先輩と私の二人で、通所者と入所者とで訓練を分担しています。

私が担当しているのは入所者31名で、様々な疾患と障害をもっている方々です。

そして、開設当初から入所されている方も多数おり、高齢化が進み色々な問題を抱えているのが現状です、訓練は週間予定表により午前4名、午後7名で30分の訓練を利用者の状態によりベッド上か機能訓練室とに分けています。

私は昨年4月、週40時間の契約職員として就職できたわけですが、100年に一度と言われている大不況の中で幸運にも登用試験により今年4月正職員になることができました。

一年間の仕事を通してみると、他職種との連携も良好で、利用者さんの喜ぶ顔と、訓練を楽しみにしていることに対し、日々知識、技術の向上を目指す気持ちと実践する責任感と共に、恵まれた職場環境の中で楽しく仕事ができることの喜びと共に感謝をしています。


C私の職場―東洋英和女学院

目黒 千惠

私は昨年4月より、学校法人東洋英和女学院でヘルスキーパーとして勤務しております。本校は幼稚園から高等部と大学院が六本木に、大学は横浜市にあり、私は通常六本木の大学院棟で施術をし、月に3回は大学に出向いて施術しています。マッサージルーム立ち上げに関われたので、電子カルテの作成や、施術内容を普通のあん摩だけでなくオイルマッサージもメニューに加えたり、ハーブティーを最後にお出ししたりと、様々な工夫を実践させて頂いています。また学生の頃と違い、患者様に対して全て自分で考えて施術内容を組み立てるので、責任の重さを感じるのはもちろんですが、やり甲斐も非常に強く感じています。スキルアップの為の講習会などへの参加も奨励して頂いていますし、学校法人なので、夏季や冬季休暇が長いのも魅力かもしれません。

今後も自分自身の引き出しを増やすことに努めながら、教職員の方に癒しを提供出来るように頑張りたいと思います。


「見えない、見えにくく」なってからの生活を豊かにする 
−「視覚障害リハビリテーション」の有効活用の勧め!!

(文・下堂薗 保)

1.はじめに

国家公務員試験の点字受験は、雇用連の要求で1991年に実現しました。 これにより、新規就職希望者に対する第一関門が開けられました。しかし、在職中、「見えない、見えにくくなった」者、いわゆる中途視覚障害者に対する的確な行政措置は放置されたままでした。

これら中途視覚障害者に対しては「文字処理ができない者がやれる仕事はない」とか、極端な場合、「奉仕作業をやっているわけではないから」見えない者の面倒は見きれないとして、退職させられていたのが実態でした。 自己退職というやり方のため、視覚障害を理由とした退職事例は記録には、一つも残っていないと言われています。

このような対処方が長く続いてきましたが、これまた雇用連の要求により、2007年に人事院から「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて(通知)」、平成19年1月29日付け」、そして、厚生労働省は独自に、「視覚障害者に対する的確な雇用支援の実施について(通知)、平成19年4月17日付け」という、画期的な通知を発出しました。

これらにより、ようやく中途視覚障害者の就労にかかる制度の見直しがなされたことになり、「新規就職から中途就労継続」への就労環境が整ったことになりました。

企業で働く視覚障害者については、権利条約の批准の際、国内法の整備でなんとかならないものかと期待している者の一人です

2.「天職」から事務的職種へ

つい最近までは「見えない者」の仕事は「あんま、はり灸(三療業)」が天職として社会的に認知されていたため、多くの視覚障害者はこの業に従事し、生計を建てていました。

このような境遇もあったため、中途視覚障害者の多くは、三療業へ転職するのが通例でした。 この事情に変化が現れはじめたのは、それまで天職とされていた三療業の世界に「職業選択の自由」を御旗に晴眼者の急激な参入がみられはじめたことと、ウインドーズ95の出現、同音声ソフトの開発、併せて性能のいい拡大独書器などIT機器の発達があります。 これらは視覚障害者には不可能とされていた文字処理を可能にしました。

その結果、事務的職種で働ける可能性の高まりとともに、事務的職種への進出を促すことになりました。

一方では、晴眼者の三療業への進出はめざましく、今や3分の2以上を占めていると言われます。 このため、「目の不自由者の天職と言われた職域」が狭くなった一方では、一部では事務的職種へ進み、晴眼者が三療業を営むという、まことに皮肉な現象が起ているといえます。

3.「視覚障害リハビリテーション」とは

視覚障害者が事務的職種においてしっかり成果を上げる仕事をやるためには、安全な単独歩行法、パソコン操作法などのワザの習得が必須です。 このワザの習得が「視覚障害リハビリテーション」で、専門家が指導してくれます。 視覚障害リハビリテーションは、生活訓練と職業訓練に大別され、そして生活訓練は「日常生活動作訓練」、「コミュニケーション訓練」、「歩行訓練」、「感覚・定位訓練」について行われます。 職業訓練は、コミュニケーション訓練で基本を学習した後、さらに高度なパソコン操作方について、一定期間訓練施設において指導を受けます。

ちなみに、(社福)日本ライトハウスの【情報処理科1年コース(パソコン活用コース)】の職業訓練内容は、Wordでのビジネス文書の作成、Excelの基本操作、VBAプログラミング、Accessでのデータベース操作の基礎、ホームページの作成、CGIプログラミング、PowerPointによるプレゼンテーションなどをスクリーンリーダ上で学ぶと紹介されています。 公務員であれ、会社員であれ、だれもが受講できるようになっています。

4.これが実態、「雇用主のとまどい、そして高い評価」

平成20年度厚生労働省「自立支援調査研究プロジェクト」の面接実態調査の結果の概略を紹介します。

面接調査は、新潟県、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県にある会社を訪問し、視覚障害当事者と雇用主側の人事部長(一部社長)の合計30人からヒヤリングしたものです。

視覚障害者は、3人が新規就職者で、残り12人が中途視覚障害者でした。 1人が三療業についているほかは、いずれも事務的職種です。 みなさんは、上述した生活訓練、職業訓練を受講しており、二人が在宅勤務者、他が単独歩行による通勤者で、全員が正社員として処遇されています。

みなさんは、すべて音声ソフトを装備したパソコンを操作しながら仕事についていたことはお察しのとおりですが、もっとも関心をもったのは、人事部長等会社側の次の応えでした。

などと、「とまどい感」、「不安感」がいっぱいだったという応えです。

それが、時間の経過に伴いみなさんが職場に慣れるに従い、職場内での移動はスムーズになるし、仕事は予想以上に次々やってしまうし、企画力は晴眼者に比べても全然、ひけを感じさせない等々、喜びに変わったという発言です。

その結果は、高い評価を得ることとなり、多くは、リーダーのポストを与えられていた現実です。 そして、更なる上の管理者をめざしてほしいという期待感いっぱいの応えが目立っていた事実です。

5.おわりに

視覚障害リハビリテーションは、目のリハビリなどと呼ばれることもありますが、骨折の後、行われるリハビリに比べればまだよく周知されていません。

IT機器の発達は、視覚障害者の事務的職種への進出を可能にしました。 ただ、そのためには一定の訓練を受け、しっかりそれらのワザを身につけることが肝要です。

それらを可能にするのが、専門家が親身になって指導してくれる生活訓練、職業訓練の受講です。 これらの訓練を有効に活用し、「見えない、見えにくく」なってからの生活を豊かにすることをお勧めします。

私は「努力は限界を超越する」と言う言葉が好きですが、積極的なチャレンジを期待するものです。


障害者雇用促進法改正のポイント

1.障害者雇用納付金制度の対象事業主の拡大

(1)障害者雇用納付金制度とは

障害者雇用納付金制度は、事業主間の経済的負担を調整する観点から、雇用障害者数が法定雇用率(1.8%)に満たない事業主から、その雇用する障害者が1人不足するごとに1月当たり5万円を徴収し、それを原資として、法定雇用率を超えて障害者を雇用する事業主に対し、障害者雇用調整金(超過1人につき1月当たり2万7干円)やその他助成金を支給する仕組みです。

この障害者雇用納付金の徴収は、昭和52年以降、経過措置として常用雇用労働者を301人以上雇用する事業主のみを対象としてさました。

(2)障害者雇用納付金制度の対象事業主を拡大する目的

しかし、近年、障害者の雇用が着実に進展する中で、中小企業における障害者雇用状況の改善が遅れており、障害者の身近な雇用の場である中小企業における障害者雇用の促進を図る必要があります。

(3)今回の法改正による改正点

こうした観点を踏まえ、障害者雇用納付金制度の対象が以下の流れで拡大されます。

平成22年7月から、常用雇用労働者が201人以上300人以下の事業主

平成27年4月から、常用雇用労働者が101人以上200人以下の事業主

Point

制度の適用から5年間は、納付金の減額特例が適応されます。

常用雇用労働者が201人以上、300人以下の事業主
平成22年7月〜27年6月まで 5万円を4万円に減額

常用雇用労働者が101人以上、200人以下の事業主
平成27年4月〜32年3月まで 5万円を4万円に減額

※ 障害者雇用調整金は変わらず、2万7千円となります。

2.障害者の短時間労働への対応

(1)障害者雇用率制度における短時間労働の取り扱い

現在の障害者雇用率制度においては、原則として週所定労働時間が30時間以上の労働者を実雇用率や法定雇用障害者数の算定の基礎としています。このため、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の重度障害者や精神障害者を除さ、重度でない身体障害者や知的障害者である短時間労働者については、実雇用障害者数や実雇用率にカウントすることはできませんでした。

(2)短時間労働に対する対応の必要性

一方で、短時間労働については、

@障害者によっては、障害の特性や程度、加齢に伴う体力の低下等により、長時間労働が難しい場合がある。

A障害者が福祉的就労から一般雇用へ移行していくための段階的な就労形態として有効であるなどの理由から、障害者に一定のニーズがあります。

(3)今回の法改正による改正点 その1

こうしたニーズヘの対応として、平成22年7月から、障害者雇用率制度における実雇用障害者数や実雇用率のカウントの際に、身体障害者又は知的障害者である短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)をカウントすることとなります。このとき、そのカウント数は0.5カウントとなります。

※ 障害者雇用としてのカウントをまとめると以下の表のようになります。

週所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満
身体障害者 1人カウント 0.5人カウント

重度 2人カウント 1人カウント
知的障害者 1人カウント 0.5人カウント

重度 2人カウント 1人カウント
精神障害者 1人カウント 0.5人カウント

(4)今回の法改正による改正点 その2

(3)と合わせ、平成22年7月から、障害者雇用率制度において実雇用率や法定雇用障害者数(障害者雇用義務数)の算定の基礎となる常用雇用労働者の総数に、短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)をカウントすることになります。その際、短時間労働者は0.5カウントとして計算し、これを基に実雇用率や法定雇用障害者数を計算します。

※ 実雇用率などの計算例

次のような事業主である場合

@労働者 1500人
A短時間労働者 500人
B身体障害者または知的障害者である労働者 10人
C身体障害者または知的障害者である短時間労働者 8人
D重度身体障害者または重度知的障害者である労働者 6人
E重度身体障害者または重度知的障害者である短時間労働者 4人
F精神障害者である労働者 3人
G精神障害者である短時間労働者 2人

実雇用率= 10+8×0.5+6×2+4+3+2×0.5 = 1.94%
1500+500×0.5

(実雇用率=(10+8×0.5+6×2+4+3+2×0.5)÷(1500+500×0.5)=1.94%)

機能訓練指導員の現状と課題

稲垣実

あん摩マッサージ指圧師が介護保険制度において機能訓練指導員としてどのくらい就労しているのか調べてみました。

厚生労働省調査の介護サービス施設・事業所調査を参考にまとめた。表1資格別機能訓練指導員数の推移では、通所介護1019人、特別養護老人ホーム540人と機能訓練指導員として多数のあん摩マッサージ指圧師が就労していることがわかります。そのうち視覚障害者は60%程度と考えられます。しかし、年々増加数が他の資格に比べ鈍くなっています。表2、平成18年都道府県別特別養護老人ホーム機能訓練指導員数では、あん摩マッサージ指圧師の機能訓練指導員総数の約45%が東京都での就労です。また、大都市圏を除くとほとんどの県で一桁の数となっています。2つの表は、機能訓練指導員総数と資格ごとの人数が合わないことがわかります。全国に通所介護が1万か所以上、特別養護老人ホームが5千か所以上あるにもかかわらず表に出てこない数字があります。全国の通所介護や特養の機能訓練指導員の3分の2は看護師です。機能訓練指導員として看護職員数がデータに載っていません。

それぞれの原因について考察すると平成18年の介護保険改正において個別機能訓練加算制度が導入され計画書や記録が義務付けられ視覚障害者が就労するのに困難な状況になっています。また、平成18年には、厚生労働省の障害者雇用対策課より各都道府県の労働安定部長宛に出された「障害者雇用マニュアル92」(「福祉施設における視覚障害者の雇用促進」独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)の活用についての通知の効果があまりあがっていないように考えます。機能訓練指導員は兼務できる規定があり、雇う側は看護職員を雇うほうが効率的であると考えていること。 以上の原因に対し各担当関係機関に働きかけることにより、まだまだ、機能訓練指導員として就労できる余地はあると考えます。

表1
資格別機能訓練指導員数の推移(厚生省:介護サービス施設・事業所調査結果の概況:従事者の状況より)

  通所看護
(デイサービス)
短期入所者生活介護
(ショートステイ)
特定施設入所者生活介護
(介護有料老人ホーム)
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)

17年度 18年度 19年度 17年度 18年度 19年度 17年度 18年度 19年度 17年度 18年度 19年度
機能訓練指導員 8,388 10,277 11,311 1,723 2,157 2,247 703 960 1,201 3,861 4,167 4,297
理学療法士 401 500 614 124 144 163 59 77 103 256 287 312
作業療法士 262 307 363 79 89 115 22 35 59 169 196 228
言語聴覚士 37 52 48 14 15 14 6 10 10 33 29 35
柔道整復師 313 408 454 34 48 48 11 24 42 67 71 89
あん摩マッサージ指圧師 895 985 1,019 156 219 227 116 146 161 506 533 540

表2
平成18年都道府県別特別養護老人ホーム機能訓練指導員数

  機能訓練指導員
総数 理学療法士
(再掲)
作業療法士
(再掲)
言語聴覚士
(再掲)
柔道整復師
(再掲)
あん摩マッサージ
指圧師(再掲)
総数 常勤 非常勤 総数 常勤 非常勤 総数 常勤 非常勤 総数 常勤 非常勤 総数 常勤 非常勤 総数 常勤 非常勤
全国 4167 3755 412 287 160 127 196 155 42 29 24 5 71 60 11 533 488 45
北海道 184 173 11 6 6 0 5 4 1 5 5 - 8 8 0 13 12 2
青森 60 57 2 2 1 1 3 3 0 - - - 2 2 0 7 7 -
岩手 72 68 4 4 3 1 4 4 0 - - - 2 2 - 4 3 2
宮城 67 61 6 2 1 2 3 2 2 0 0 - 2 1 1 5 4 1
秋田 47 45 2 2 2 0 1 1 - - - - - - - - - -
山形 67 66 1 3 3 0 3 3 0 - - - - - - 3 3 1
福島 81 79 2 1 1 1 3 3 0 - - - 2 2 - 7 6 1
茨城 80 71 9 6 2 4 2 1 1 1 - 1 3 3 0 5 3 1
栃木 45 40 5 2 1 1 2 1 0 1 1 - 4 3 1 6 6 1
群馬 73 67 6 2 2 0 1 1 0 1 1 - 0 - 0 3 2 1
埼玉 117 95 22 10 2 8 3 - 3 0 - 0 2 2 1 14 12 2
千葉 118 94 24 11 4 7 2 - 2 0 - 0 2 2 0 12 9 3
東京 397 334 63 52 21 31 26 14 12 3 2 1 3 3 0 243 233 10
神奈川 159 135 24 12 4 8 3 2 1 - - - 2 2 0 28 25 3
新潟 131 126 5 8 7 1 14 13 1 1 1 0 - - - 7 7 -
富山 48 46 2 2 1 1 2 1 1 2 2 - 2 2 - 3 3 -
石川 49 46 3 3 3 0 4 3 1 - - - 1 1 - 3 2 1
福井 43 38 5 2 2 1 0 - 0 3 3 0 1 1 1 3 2 1
山梨 24 21 3 1 0 1 - - - - - - - - - 4 3 2
長野 96 91 5 3 1 2 3 2 1 1 1 - 4 4 0 8 6 1
岐阜 63 53 9 3 3 1 1 1 0 - - - 2 2 0 2 1 2
静岡 116 99 17 3 2 1 6 6 0 - - - 4 3 1 28 24 4
愛知 140 126 15 10 5 5 5 5 1 - - - 0 - 0 7 6 1
三重 60 54 5 2 1 1 2 1 1 - - - 1 1 - 3 3 -
滋賀 34 30 4 2 1 1 0 - 0 - - - 1 1 0 5 5 1
京都 68 61 8 7 3 4 4 3 0 0 0 - 1 - 1 7 6 1
大阪 276 240 36 28 19 10 24 21 3 2 2 0 8 7 1 27 24 3
兵庫 193 158 36 18 8 10 8 6 2 1 - 1 7 5 2 9 9 0
奈良 30 23 7 7 4 3 2 2 - - - - - - - 1 1 0
和歌山 52 49 3 3 2 2 1 1 - - - - 2 2 0 - - -
鳥取 31 29 3 4 3 0 3 3 - 1 1 0 - - - 10 10 -
島根 61 58 4 3 3 0 2 2 - 1 1 - - - - 7 7 0
岡山 85 77 8 4 3 1 4 3 1 - - - 1 1 - 8 6 1
広島 103 97 6 2 0 2 5 5 1 1 1 1 1 1 - 6 6 -
山口 52 47 5 1 - 1 1 1 0 0 - 0 1 1 - 0 - 0
徳島 47 45 2 8 7 1 3 3 0 - - - - - - 3 3 -
香川 54 51 3 1 - 1 4 4 1 - - - - - - 1 1 -
愛媛 76 70 6 5 2 3 5 5 1 1 1 - - - - 1 1 0
高知 41 38 2 5 3 2 0 - 0 - - - - - - 3 3 -
福岡 172 159 13 12 8 4 15 11 4 1 1 0 3 3 0 12 11 1
佐賀 40 39 1 0 - 0 4 3 0 1 1 - - - - - - -
長崎 68 67 1 7 7 1 3 3 0 - - - - - - 1 1 -
熊本 105 102 3 6 5 1 6 5 1 1 1 0 - - - 3 3 -
大分 52 48 4 3 2 1 2 1 1 - - - - - - 2 2 0
宮崎 50 47 3 2 1 2 2 2 0 0 - 0 1 1 - 2 2 -
鹿児島 97 93 4 5 3 2 1 - 1 0 - 0 - - - 4 4 0
沖縄 47 44 3 2 1 1 3 3 - - - - - - - 5 5 -

注:「0」は常勤換算従事者数が0.5未満の場合である


 情報コーナー

(1)(改正障害者雇用促進法にかかる措置)

本文記事の追加です。

平成21年4月1日から、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律のうち、
@ 中小企業が事業協同組合等を活用して共同で障害者を雇用する仕組みの創設
A 一定の要件を満たす企業グループとして認定を受けたものについては、特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で実雇用率を算定する仕組みの創設
B 地域障害者職業センターの業務の追加に関する規定(改正法第1条関係) が施行になりました。

(2)在職者訓練について(お知らせ)

職業能力開発施策の一つに、「障害者の態様に応じた多様な委託訓練」というのがあります。これは、公共の専門訓練施設以外でも、様々なニーズに応じて職業訓練を行えるようにする制度です。

企業、社会福祉法人、NPO法人、民間教育訓練機関等を委託先として職業訓練を行うものです。

これまでこの委託訓練を受講できるのは、離職の状態にある方、または休職中の方でしたが、今年 2009年4月から在職者の方が受講可能なコースが設けられました。 窓口は、各都道府県の障害者職業能力開発校です。

在職者訓練コース

在職障害者(休職中の者を除く。)に対して、雇用継続に資する知識・技能を付与するための在職者訓練コースは、次により実施するものとする。

イ 訓練期間は、原則として3ヶ月以内とし、訓練時間は下限12時間、上限160時間とし、訓練受講生の障害の程度及び訓練職種に応じて定めるものとする。
その際、1単位時間を45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間と見なすものとする。

ロ 訓練内容は、
@専門学校、各種学校等の民間教育訓練機関、障害者に対する支援実績のある社会福祉法人等、障害者を支援する目的で設立されたNPO法人等を委託先として、知識・技能の習得を目的として実施するもの(在職者訓練コース〈知識・技能習得〉)
A在職障害者が現に勤務する企業等に、委託訓練を受託した民間教育訓練機関等の専門家等が赴き、企業の現場に即応した訓練を実施するもの(在職者訓練コース〈指導員派遣〉)
Bインターネットを利用して、教材の配信、受講状況の管理、技能習得指導等 を行うe-ラーニングのノウハウがある在宅就業支援団体 (障害者雇用促進法第74条の2に定める法人)等の機関を委託先とし、IT技能等の習得を図るもの(在職者訓練コース〈e-ラーニング〉)とする。

*なお、在職者訓練コース〈指導員派遣〉については、受講者である在職障害者を雇用する企業は、自ら委託訓練を受託することはできないものとする。

[訓練の例]

いささか時期遅れですが、参考までに掲載します。今後も開講されると思われますのでお問い合わせください。

1.e-ラーニング「視覚障害者ビジネススキル向上コース」の募集について

通勤が困難で在宅就労を目指す障害者を対象に、メールによる講習課題の送付と指導・受講者からの回答により、きめ細かく個々の特性に応じた指導による職業訓練を行います。

必要に応じて月1回のパソコンボランティアの訪問があります。

第4期「e-ラーニング 視覚障害者ビジネススキル向上コース」
開講予定:平成21年 5月
期間:4ヶ月間(324時間)(1日4時間)
受講者:仕事を求めている、または仕事を休んでいる視覚障害者で、訓練施設への通所が困難な方(東京および近県)
申込み先:ハローワーク
受講料:(本人の負担はありません)
内容:Windows(OS)… タッチタイピング、環境設定、ファイル管理、 視覚障害補償・ソフト・ハード… 画面読み上げソフト・画面拡大ソフト、点字ディスプレイ、点字プリンタ、文字認識ソフト(48時間)
Internet/mail… メールの作成、送受信、アドレス帳、添付ファイル、インターネット検索、アクセシビリティ、ホームページ作成(48時間)
Excel… データ入力、編集、検索、並び替え、抽出、集計、関数、ピボットテーブル、グラフ (48時間)
Word… 文章入力、文書編集、ビジネスレター作成、印刷、各種機能、差込印刷、PDFファイル (48時間)
ビジネス・就労支援… ビジネスマナー、社会・経済、模擬面接、会社選び、模擬実習、会社見学等 (48時間)

問合せ先:・視覚障害者就労生涯学習支援センター
〒156-0043東京都世田谷区松原1-46-7シーズ松原1F
TEL/FAX 03-6379-3888
e-mail eiko_inouyeアットマークpiano.ocn.ne.jp
・東京しごと財団 Tel.03-3202-2122

(3)障がい者の就労支援研究 佐大が国内初カリキュラム  

2009年4月4日の佐賀新聞によると、佐賀大学は新年度から、障がい者の就労を支援するコーディネーターの養成、教育カリキュラム開発に取り組むのだそうです。今後の動きに注目したいと思います。

(4)障害者の雇用の促進等に関する法律の規定に基づく企業名の公表等について

厚生労働省は、障害者の雇用の促進等に関する法律第47条の規定に基づく企業名の公表及び同法第39条第2項の規定に基づく適正実施勧告を発出しました。詳しくは以下のurlを御参照ください。


 (資料)特定求職者雇用開発助成金について

(厚生労働省ホームページより)

特定求職者雇用開発助成金

新たにハローワーク等の紹介により高年齢者(60歳以上65歳未満)、障害者等の就職が特に困難な者又は緊急就職支援者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主、65歳以上の離職者を1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して賃金相当額の一部の助成を行います。

※平成21年2月6日雇入れから中小企業に対する支給額を増額しました。

○特定就職困難者雇用開発助成金

【主な受給の要件】

高年齢者(60歳以上〜65歳未満)、障害者等の就職困難者をハローワーク又は適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者の紹介により、新たに継続して雇用する労働者として雇い入れること

【受給額】

対象労働者
(一般被保険者)
支給額 助成対象期間
大企業 中小企業 大企業 中小企業
短時間労働者以外 @高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 50万円 90万円 1年 1年
A重度障害者等を除く身体・知的障害者 50万円 135万円 1年 1年6か月
B重度障害者等※1 100万円 240万円 1年6か月 2年
短時間労働者 ※2 C高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 30万円 60万円 1年 1年
D身体・知的・精神障害者 30万円 90万円 1年 1年6か月

(※1)重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者
(※2)週当たりの所定労働時間が20時間以上30時間未満の者

○緊急就職支援者雇用開発助成金

【主な受給の要件】

@厚生労働大臣が「雇用に関する状況が全国的に悪化した」と認める場合や、A雇用維持等地域の指定が行われた場合に、再就職援助計画又は求職活動支援書の対象者(45歳以上60歳未満)を雇い入れること(Aの場合は当該地域内に所在する事業主に限ります。)

【受給額】

対象労働者
(一般被保険者)
支給額 助成対象期間
大企業 中小企業
短時間労働者以外の者 25万円 45万円 6か月
短時間労働者※ 15万円 30万円 6か月

(※)週当たりの所定労働時間が20時間以上30時間未満の者

○高年齢者雇用開発特別奨励金

【主な受給の要件】

雇い入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク又は適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者の紹介により一週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れること(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る。)

【受給額】

対象労働者 支給額 助成対象期間
大企業 中小企業
週当たりの所定労働時間が
30時間以上の者
50万円 90万円 1年
週当たりの所定労働時間が
20時間以上30時間未満の者
30万円 60万円 1年

【問い合わせ先】
都道府県労働局(職業安定部)
最寄りのハローワーク



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