雇用連会報 第3号

発 行 日 2002年6月5日

発   行 全国視覚障害者雇用促進連絡会

発行責任者  田中 章治

編集責任者   田中 章治

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              (加入者名 全国視覚障害者雇用促進連絡会)

  「会報第3号」 発刊にあたって         会 長  田中 章治

会員のみなさんこんにちは。少し間隔が開いてしまいましたが、「雇用連会報 第3号」をお届けします。

 報告が大変遅くなりましたが、雇用連は昨年12月9日、東京で第12回定期総会を開催し、私が新しい会長に選出されました。長年にわたり、会長の任にあった竹下義樹氏の労に対し心より敬意を表したいと思います。

 今号では、雇用連の最近の活動の紹介、いくつかの情報を中心に編集してあります。「会報」への皆様からのご意見や投稿など気軽にお寄せ下さい。

点字図書館・点字出版施設における重度視覚障害者の就労状況

雇用連では、本年3月、点字出版施設・点字図書館に対して、「重度視覚障害者(点字使用)の就労に関するアンケート」を実施しました。このほど、その概要がまとまりましたので、以下に報告します。

 1. アンケート実施期間  2002年3月24日、 回答締め切り 4月15日

2. アンケート発送数   117  内訳は、点字図書館 88. 点字出版施設 29.

  (日本盲人社会福祉施設協議会加盟施設に限定)

 3. 回答数 82. 回答率 70.1%

 4. 集計結果の概要

  問い1 現在貴施設には重度視覚障害者が勤務していますか。

回答 ア. はい   44施設 53.7%                  

      イ. いいえ  38施設 46.3%                  

問い2 「はい」と回答した施設における職種と人数をお答え下さい(兼任あり)

回答 点字校正員  延べ 24施設 37人 内訳 … 1人 15施設、

            2人 5施設、 3人 4施設             

   点字製版・印刷員 延べ 9施設 12人  内訳 … 1人 7施設、   

  2人 1施設、 3人 1施設            

 点字指導員 延べ 19施設 30人  内訳 … 1人 13施設、

2人 1施設、 3人 5施設            

  貸出閲覧員・司書 延べ 6人  内訳 … 1人 6施設、       

  館長(管理職を含む) (点字の編集レイアウト、パソコン指導、事務職などと

                兼務している例がある)  延べ 20人 15施設

                内訳 … 1人 10施設、 2人 5施設   

      事務職員  1人 1施設

問い3 今後重度視覚障害者を採用する予定がありますか。

回答 「現在募集中」 1施設 1.1%  「近く採用予定がある」 1施設 1.1%

      「数年後にある」 1施設 1.1%  「当面ない」 79施設 96.3%

問い4 採用予定のある施設における職種と人数をお答え下さい。

回答(兼任あり) 点字校正員 1人 1施設、 1〜2人 1施設

点字製版・印刷員 1人 1施設

点字指導員 1人 1施設

貸出閲覧員 1人 1施設

  その他 1施設

問い5 自由意見(主なもののみ記します)

   * 点字図書館は、都道府県から補助金を受けているので、職場介助者配置助成金を

     受けるのが極めて困難で、その解決が急務である。

   * 点字図書館の採用には限界がある。国の法制度の充実(保護又は誘導)によって、     一般就労を勧めるべきだ。

   * 盲学校で正確な点字表記の指導をしてほしい。

   * 視覚障害者の就労にかける意欲と情熱が必要。施設側も一般就労に耐えうる人材     を育成すべきである。

   * 重度視覚障害者の能力について判断が難しく、訓練・学習する機関があるとよい。

   * 重度視覚障害者と晴眼者の協働に積極的に取り組むべきだ。

 以下の文章は、名古屋ライトハウス盲人情報文化センター施設長近藤豊彦氏からいただ  いたアンケートの回答です。 ご本人の許諾をいただき、掲載いたします。

名古屋ライトハウス盲人情報文化センター  施設長 近藤 豊彦

 視覚障害者の正職員は4名です。定員は3名ですが、優秀な人材がおりましたので今年2月に1名増員いたしました。担当の内訳は、校正1名、点字指導1名、貸出1名、臨時雇用の管理者1名です。一応担当を決めておりますが、固定はしておりません。全て兼務していると言った方が正しい状況です。他に、富士通からの出向を受け入れております。IT支援を担当いただいております。

 この4月から、緊急地域雇用創設事業により、23名の臨時雇用をしております。内、視覚障害の人は、7名です。手打ち点字本をデータ化する作業の予算をいただきました。視覚障害の人には、データ化した本の校正をしていただいております。一人の雇用期間は6ヶ月と限られておりますが向こう3年間の事業で、すこしは雇用創設できたと喜んでおります。

 今後の雇用の予定ですが、10月に7名の入れ替えがございます。今、なんとか延長できないものかと交渉をしております。入れ替えとなったとしても新しい人が採用されますので、結果的には雇用を確保できることになります。

 視覚障害者の雇用に関しては、施設運営側の者がもっと責任を持たないといけないと考えております。

 3療も点字技能もこれ以上の雇用は期待できません。新しい仕組みを考えております。3療の仕事をしながら、週1日乃至数日、パソコン指導で雇用するとか、通販会社やクレジット会社のコールセンターでの仕事の開発です。街角、街角に点字教室を作るとか、ワゴン車にパソコンを積み込んだITキャラバンをすること。等、フルの雇用とまでは行かないが、週に数日の雇用でもよいという新しい働き方もよしとするならばチャンスはあると考えております。

  会費並びに募金をお寄せ下さった方々

次の方々から、個人会費(賛助会費を含む)並びに募金をお寄せいただきました。

 ありがとうございました。 (氏名は順不同、敬称は略させていただきます。ご了承下さい。)

2001年12月〜2002年5月分

山口   神作悦穂 野口 大橋照雄 井澤みゆき 金澤達子 

 飯島紀子 椿 久美子 中山 山下利美 高木紀子 西川 高橋恵子 金岡敏充 小田切督剛   太刀川やよい

 国リハあはきの会 与那嶺岩夫 デイケア施設「レモンの樹」 坂本サトシ

  ミニ情報コーナー

 1. 川崎市では、この4月、2名の障害者が採用されました。1名は現業職で保育園の用務員(聴覚障害者)、1名は本庁の事務職(軽度と思われる肢体障害者)です。私の知るかぎり、1996年には7名、98年には4名の障害者が採用されていますので、雇用を巡る状況は年々厳しくなっていると言えるでしょう。  (伊藤 慶昭)

2. 東視協(東京視力障害者の生活と権利を守る会)では、毎月第1金曜日の夕方、東京豊島区南大塚の社会教育会館において、「雇用を進める会」を開催しています。若者を中心に、毎回7、8回名参加があり、視覚障害者の就労の問題についてじっくり語り合っています。会員外の参加も自由ですので、関心のある方は気軽においで下さい。  (田中 章治)

 3. 千葉県では、1991年より障害者特枠採用試験で点字受験が認められています。これは、障千連(障害者と家族の生活と権利を守る千葉県連絡会)の長年にわたる県への要請が実を結んだものです。この間、公共図書館3名、公文書館1名、事務(相談業務)1名、医療機関のマッサージ師3名の計8名の点字使用者が試験に合格し、県職として働いています。  (田中 和夫)

主な活動日誌

2001 12月 9日 雇用連第12回定期総会 (詳細は「雇用連情報 第48号」参照)   

  講演会 「視覚障害者のための職業相談について」 開催     

12月10日 厚生労働省交渉 (「同 48号」参照)            

2002 1月12日 幹事会 (日本盲人職能開発センター 以下同)         

2月17日 幹事会開催                        

3月28日 田中会長がNHKラジオ第2 「視覚障害者のみなさんへ」に出演。 

          放送は4月7日                      

3月   「点字図書館・点字出版施設における視覚障害者の雇用に関するア

          ンケート調査」 実施                    

4月 6日  幹事会開催                        

5月24日  幹事会開催                        

6月10日  「手をつなごう全ての視覚障害者全国集会」に参加        

6月 「雇用連情報第 48号」、「会報第 3号」 発行